昆虫食界で知らない人はいない、NPO法人昆虫食普及ネットワーク理事長の内山昭一先生に幼少期から現在までの昆虫食経歴、将来の展望についてお伺いしました。
プロフィール
最初は良いイメージのなかった昆虫食。変化したきっかけは?
当時は業者の方がカイコの蛹を売りに来るんですよ、祖父が好きだったので、栄養があるからと言って野菜といためたものをご飯の上に乗せ、半ば強制的に食べさせられました。
特に家で煮たカイコの蛹は酸化していて独特な臭みがあるので、初めて食べた時はおいしいと思わず、昆虫食に対して良いイメージを持たなかったですね。
友達に誘われて3人で行きました。
昆虫食にいいイメージがなかったので、前のめりではありませんでしたが、会場が家から近く昆虫が好きな友達に誘われたので行きました。
あんなまずいものを今でも食べられていることを不思議に思い、仲間と一緒に多摩川で試しに食べてみようということになったんです。
河原でバッタを採取して、そのまま素揚げで食べてみると、エビみたいで美味しかった。
そこでおいしい昆虫もいるんじゃないかと思うようになり、3人が中心になって活動が始まりました。
仲間が増えて、昆虫料理研究会から現在のNPO法人昆虫食普及ネットワークまで至りました。
あの時の1人は今はもう昆虫を食べていませんが、もう1人は阿佐ヶ谷の「よるのひるね」のマスターになり、昆虫食のイベントをさせてもらっています。
しかし妻も長野県出身で昆虫食自体には否定的なものはなく、現在は料理のレシピを一緒に考えてくれる、ありがたい存在だと思って感謝しています。
息子は昆虫採集が好きだったので、一緒に標本づくりを行い、夏休みの自由研究などに活用して、その流れで食べるようにもなっていきました。
ただ大きくなるにつれて昆虫食に興味がなくなったようで、「昔いっぱい食べたからもういいや」と言って、今は全く食べていません。
田植えのときに代掻きするんですが、その時に田んぼから出てくるオケラを何匹か捕まえて、糸でマッチ箱に縛って引かせて競争させて遊びました。
食べるための採集の出会いは、祖父と共に川でフナやドジョウやナマズなどを取って食べていた時期があり、この体験が僕の昆虫食の原点になっていると思います。
タンパク質を増やすのと、納豆菌へのごちそうのつもりもあって。ただコオロギの味はしませんけど。
前は豆の代わりに蜂の子やカイコの蛹を使用し、虫納豆をつくっていました。
納豆菌は今では市販を使ってますが、当時は川べりの枯草を刈ってきて入れてました。
例えばザザムシを業者から仕入れたり。
現在の取り組み:イベントにはどういった人が来るのか?
構成する人は若い人が多いです。採取の活動があるイベントは男性が多く、調理がメインのイベントは女性が多い印象です。
以前は趣味のサークル感、いわゆるゲテモノ色が強く、世間からはプラスの印象ではなかったです。
マスコミが「昆虫が世界を救う」といった文言で取り上げたことにより、研究目的で参加する人が増えました。
ただ昆虫食の環境的側面を強調することで、コオロギ騒動(コオロギに関するデマ情報)などがSNSで拡散され、批判の声が大きくなり昆虫食業界が衰退してしまったと感じています。
今まで伸びていたビジネスが沈静化して、今若干回復してきているという状況かもしれませんね。
環境に良いやタンパク質などの面を強調しすぎた気がしますね。
僕も原点に返って、食品としての昆虫のおいしさを演出できるような流れが必要だと思います。
強制的に昆虫を食べさせる風潮は昆虫食業界全体が反省すべき点だと思います。
SDGsとして売り出す企業は減少すると考えられます、そもそもSDGsでやるっていうのは昆虫食の本道ではないのかもしれないですね。
今後の目標と野望:100億円で実現したいこととは?
河東さん頑張って100億円集めてください(笑)
インターン生 河東 佑奈
その後、知り合いの本屋で働き、1984年にロシア語の勉強のために上京しました。