青年海外協力隊員の考えた!簡単美味しい!コオロギ乾パン!

コオロギレシピグランプリは、コオロギパウダーを使用した料理をSNSに投稿することで

参加できるイベントです。

2021年10月24日コオロギレシピグランプリの審査会が実施され、500人以上の

応募、350種類以上のレシピのエントリーがありました。

セミたまもスポンサー賞として「セミたま賞」の審査を行いました。

個性、作りやすさ、見た目、味などの審査項目で、見事多くの参加者から選ばれたセミた

ま賞受賞者は、、、

 

佐々木典子さん考案のコオロギ乾パンです!

レシピはこちらから!

今回は、セミたま賞受賞者の佐々木典子さんに、感想やレシピ考案までの経緯をインタビ

ューしてきました!

出場したきっかけ ~青年海外協力隊つながりで

大澤
コオロギレシピグランプリはどこで知りましたか?
佐々木さん
青年海外協力隊に参加したことがあり、協力隊のOBが集まってセミナーを行った際に教えてもらいました。セミナーは「お弁当のひみつ」というもので、みんなが好きな食材を選んでお弁当を作りますが、その食材は海外から輸入したものが多きことに気づき、食品ロスや環境負荷について考えるSDGsとリンクした体感型のものでした。その会を主催した協力隊のOBがコオロギポテトチップスを持ってきてくれました。食べてみたらおいしく、こんなに食べやすいならやってみたいと思ってやってみました。
大澤
青年海外協力隊の時に昆虫は食べましたか?
佐々木さん
赴任したのはニカラグアという中米の国で、昆虫を食べる文化はありませんでした。

その代わり、海ガメを食べたり、イグアナを食べたりということはありました。イグアナを子どもたちが捕まえて、道端で売っている光景もたびたび目にしました。イグアナはスープにして食べますがおいしかったです。味と食感は鶏肉に近い感じです。臭みなどはないのですが、食べる部分は少なかったです。

大澤
海ガメはどうやって食べましたか?
佐々木さん
海ガメも手の部分を煮込んでスープにして食べます。煮込むとプルプルとゼラチンのようでした。海ガメの卵は生で食べました。海外の食べたことのない食材でも特に抵抗はなかったですが、食べてみた後にこれは好きではないというものはありました。
大澤
なぜこのレシピにしようと思ったのですか?
佐々木さん
レシピづくりにチャレンジしようと思ったときにまず途上国のことが頭に浮かびました。世界人口が増えていく中で食糧危機に瀕する可能性は途上国の方が高いからです。途上国は貧富の差が激しく、冷蔵庫のない家庭も多いため、冷蔵庫がなくても長期保存ができる食品を作りたいと思いました。
大澤
だから乾パンを選んだのですね!
佐々木さん
途上国の人は保守的で、新しい食べ物に抵抗を示すのではないかと考えました。ニカラグアにはドーナツ型の乾パンに近いものが売られています。ロスキージャというお菓子ですが、食感が日本の乾パンに近く、今回私が作ったような乾パンならば受け入れられやすいと思いました。

ロスキージャはトウモロコシとチーズでできています。ニカラグアのトウモロコシの甘味が少なく、そこに塩気の強いチーズが入るのでしょっぱいスナックのような味になります。

はじめて取り組んだ昆虫料理

大澤
昆虫食の経験はありますか?
佐々木さん
昆虫食は今回が初めてでした。大学の研修旅行でお寺に行き、精進料理のイナゴの素揚げは食べたかもしれませんが、はっきりと思い出せません。
大澤
昆虫食への抵抗はなかったですか?
佐々木さん
抵抗というよりも、昆虫食は自分の生活とはあまりにかけ離れていたので、食べてみようとは思ったことはありませんでした。ですが、実際にコオロギポテトチップスを食べ、一気に身近になりました。言われなければコオロギパウダーが入っているとは思えませんでした。体験してみることで、ぐっと興味が湧きました。
大澤
他の昆虫食を食べてみようとは思いますか?
佐々木さん
そのまま姿が残ったままの昆虫食にもチャレンジしたいと思いますが、今回の経験がなければ思いもしなかったはずです。

今回のコンテストにはコオロギ乾パン以外にも二品出していて、もう一つでもスポンサー賞をいただきました。受賞できたことで更に興味が沸き、他の昆虫も調べてみました。タランチュラやタガメをネットで見てみましたが、少し高いので買うのはやめてしまいました。

大澤
コオロギ乾パンを食べた家族の感想はどうでしたか?
佐々木さん
娘はまあまあという感じで、息子はめっちゃおいしかったと言っていました。コオロギパウダーについては、臭みも少なく食品として食べやすいという感じがありました。
大澤
他のレシピで美味しそうなものはありましたか?
佐々木さん
絶望パスタが美味しそうでした。コオロギパウダーをたくさん入れ込んでいるのでどんな味がするのか気になりました。
大澤
他の二品はどのようなものを作ったのですか?
佐々木さん
二種類のクレープを作りました。一品目はスイーツにしました。生クリームとカスタードクリームとバナナをコオロギパウダーとブラックココアを入れたクレープ生地で包みました。バナナやクリームの甘味が強かったので、ほとんどコオロギパウダーの土臭さを感じない仕上がりになりました。
大澤
すごく美味しそうですね!もう一品は何ですか?
佐々木さん
もう一品は、チキンとジャガイモとチーズを、コオロギパウダー入りのクレープに包んでバジルソースをかけるという食事系のクレープを作りました。こちらはコオロギパウダーの風味と他の素材の味が調和し、コオロギパウダーが香辛料として活躍してくれました。

意識したコオロギ料理の大きな2つの方向性

佐々木さん
パウダーの風味を消して入っていることにも気が付かない調理法と、風味を香辛料として利用して料理を美味しくするというベクトルの異なる調理ができたと思います。
大澤
アイデア出しには時間はかかりましたか?
佐々木さん
いいえ、直感で作ったのであまり時間はかかりませんでした。お菓子作りが好きなので、おしゃれな感じの物を作りたいというのはありました。
大澤
来年も出たいですか?
佐々木さん
はい!楽しかったので出たいです。

出場をきっかけに考えた食料問題

大澤
青年海外協隊のつながりで昆虫食へという流れも珍しいですね。
佐々木さん
協力隊の仲間で十品応募した方がいらして。開発教育や途上国の支援に興味がある方で、全てのレシピにSDGsの課題を盛り込んで作っていました。イカ餃子のレシピだったら「#14 海の豊かさを守ろう」といった感じです。興味深いと思いました。

他にも出品した仲間がいますが、みんな受賞することができました。コロナが落ち着いた時にコオロギパウダーでこんな料理を作りましたということで、セミナーができればという話も出ています。

大澤
今回のインタビューをきっかけにいろいろ調べていただいたとも伺いました。
佐々木さん
世界人口の増加が予想されていますが、サハラ以南のアフリカで50年後には人口が99%増加するだろうということを知りました。今でさえ飢餓状態にある国が多いのに、深刻な食糧不足の状態に陥るのではという危機感を持ちました。WFPや他国から食料支援はくると思うので、できる限り平等に援助が行き渡り、飢餓、栄養失調を起こさない状態であってもらいたいと思います。

中米は気候が良いので農作物がよく育ち食べ物に困ることはなく、あちらに住んでいた二年間で飢えている人には出会ったことはありませんでした。現金がなくて服が買えない、学用品が買えないなどはありましたが。それに比べてアフリカは土壌自体が良くないので、人口増加と気候変動で更に食糧の確保など大変なことになるだろうと思いました。

今回コオロギレシピグランプリを通じて、食についての学びを深めることができ感謝しています。何事も知って、体験することが大切だと感じました。

大澤
本日はどうもありがとうございました!

コオロギ乾パンのレシピ

材料

  • 強力粉 150g
  • 薄力粉 150g
  • 三温糖(白砂糖でも可) 15g
  • 塩 5g
  • ベーキングパウダー 5g
  • オリーブオイル 10g
  • ショートニング(バターやマーガリンでも可 10g
  • 水 130g
  • コウロギパウダー 10g

作り方

  1. 大きめのボールに材料を全て入れます。
  2. 粉が水気を含み、一塊になるまでボールの中で捏ねます。
  3. 一塊になったら清潔な作業台に取り出し、つぶつぶが残らず、耳たぶくらいの固さになるまで5分ほど捏ねます。
  4. 捏ねあがった生地を綿棒で1cmの厚さによう広げます。
  5. オーブンシートの上に広げた生地を移し、2cm四方の大きさになるようスケッパーでカットし、フォークで穴を開けます。
  6. 焼いたときに膨らみます。カットした生地の隣同士がくっつかないよう離しておきます。
  7. オーブンを220℃に余熱します。
  8. 余熱がおわったら、220℃で10分焼きます。
  9. オーブンを150℃に下げて、15分~20分焼きます。
  10. 網の上で冷まします。
  11. 冷めた乾パンにお好みの量の氷砂糖を混ぜ完成です。

 

感想

インタビューを初めてさせて頂き、至らぬ点も多々あったと思いますが、丁寧に回答して

頂いた佐々木典子さんに感謝申し上げます。青年海外協力隊をやっていたということもあ

り、環境問題や食糧問題などに献身的に活動している姿を私も見習いたいと思いました。

レシピについても深く考えて作ってくださり、来年も出てくれるということなので、来年

もさらに魅力的なレシピを楽しみにしています!今回はどうもありがとうございました。

セミたまインターン生:大澤英輝