蚕を食べる。どのように食べられてきたのか、食べ方は?

蚕というのは、蛾(ガ)になります。

カイコガと言われるものになります。

これが、なぜここまでメジャーになっているかというと、それはサナギになるときに作る繭で絹が作れるからです。

絹というのは、シルクロードという言葉がある通り古代から貴重なものとして扱われてきました。

そして、今でも高級品として扱われています。

食用としては、主にサナギのものが食べられています。

それには理由がありました。

蚕について

天然物が存在しない

蚕は、5000年前にはすでに飼育されていたという歴史があります。

実は、野生のものは一切存在しません。

というのも、生きていくためには人の手が必ず必要になるからです。

その理由というのは、絹というのは昔から人気の製品で、人が絹を取るために品種改良が進んだため、自ら動くことができず、人が餌をあげないと死んでしまうからです。

そんな家畜化された蚕ですが、卵から蛹になるまで、40日ぐらいで、成虫は子孫を残すことだけが仕事ということで、一切食べ物は食べず、交尾後数日で死んでしまいます。(農林水産省

餌である桑の葉があるのは5~9月頃です。

暖かい環境が必要ということで、日本では屋根裏などで育てている家庭が多く、今でも養蚕が盛んだった地域の家にはその面影が残る家もあります。

蚕はどのように食べられてきたのか

製糸業の繁栄

そんな絹をつくろうというのが製糸業で、日本では明治時代から昭和初期にかけて産業として大きく発達しました。

産業廃棄物の活用という側面

世界遺産にもなっている群馬県の富岡製糸場も絹を作るためにできたものです。

大量の絹が作られるということは、原料となる蚕がたくさん育てられることになります。

それに伴い、産業廃棄物として蚕のサナギは扱われるわけです。

もちろん、蚕は作り続ける必要があるので、一部は卵を産ませるために成虫のカイコガまで育てますが、多くは絹を作るために茹でられます。

そして、そんな茹でられた蚕を捨てるのではなく、活かすのが蚕を食べるということになります。

家庭内での消費という側面

また、蚕を育てるのは各家庭の屋根裏などで農家が副業として行っていたものでした。

そのため、繭の質が悪いものなどは工場に出荷せず、自家消費となるため、自宅でも蚕を調理して食べるということが行われていたということです。

ただ、第二次世界大戦後は産業構造が変わって、製糸工場も減るため蚕の生産も少なくなります。

養蚕農家も激減したため、家庭で蚕のサナギを食べる機会も少なくなったようです。

しかし、蚕を食べたいというニーズは残っていたため、食品として佃煮製品が販売され続けているというのげ現状です。

韓国でのポンテギ

最近では、韓国料理ブームが大きな影響を与えました。

ポンテギという韓国料理は、蚕のサナギの料理なんですね。

屋台などで食べられるようです。

日本にある韓国料理屋でも食べられたり、チョナン・カンとして活動していた元SMAPの草彅剛さんが好きだと言っていたこともあって、一部では親しみのある食品になりました。

食べられ方 ~そのままから加工へ~

サナギをそのまま

蚕は今でも市販されていて、長野県で佃煮として作られています。

醤油や塩とともに煮詰める方法です。

食べられるのはサナギですね。

ただ、製糸業が盛んだった時期は、繭から糸をつむいでいる作業中にそのまま食べるということもやっていたようです。

映画の「あぁ野麦峠」ではそのようなシーンがあります。

ただ、一部では成虫のカイコガの方がおいしいという評価もあります。(参考:十代に何を食べたか

大正時代の群馬県粕川村ではカイコガを食べるのは最近の流行だということも言われていたようです。参考:十代に何を食べたか

シルクフード

最近ではシルクフードということで、蚕の機能性に着目して蚕そのままではない形での食べ物も出てきています。

ハンバーガーやピザにしてというものを表参道で食べることができます。

蚕を使った昆虫食シルクフードの狙いとは?

エリー株式会社のシルクバーガー

蚕のフン(蚕沙)

また、蚕のフンが漢方として利用されているということもあり、蚕のフンを活用した食品もあります。

蚕は桑の葉しか食べないので、フンといっても、葉っぱのにおいがする感じです。

こちらは蚕の繭の形をそのまま表現したようなクッキー蚕紗

田村萬盛堂の蚕紗(さんしゃ)

こちらは蚕のフンを使ったお茶ですね。

名前もそのまま蚕糞茶

Bugsfarmの蚕糞茶

蚕は生まれてから、桑の葉を食べ、サナギになったときの繭はもちろん、サナギ、そして、そのフンまで活用できてしまうという、スーパーフードなんですね。

昆虫食が宇宙食として考えられるのもわかる気がします。

昆虫食が宇宙食として注目されている理由

参考文献:昆虫食先進国ニッポン(野中健一)

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