日本の昆虫食の未来はミズアブにあり!その理由は?

日本の最先端の昆虫活用研究の方向性が示されました。

ムーンショット型農林水産研究開発事業というもので、2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出を目的としています。

その中で昆虫活用がどのように位置づけられているのかが明らかになりました。

その中で、特に重要なのが、ミズアブです。

ミズアブとは

アメリカミズアブという名前のとおり、日本にもともといたものではなく、外来種になります。

日本に持ち込まれたのは1950年頃ということで、かなり以前のことです。

形としては、蟻に羽が生えたような感じです。

みんな1度は見たことあるのではないでしょうか。

そして、卵から成虫になるまで40日程度ということで、コオロギとほぼ同じような感じです。

養殖には短時間で成長することが大切ですので、その点クリアということですね。

注目されるポイントは、その食べ物です。

幼虫の時に何を食べるかというと、生ごみなんですね。

いわゆるフードロス対策、ミズアブに食べてもらうという方法が注目されています。

コオロギも雑食とは言われていますが、ミズアブの場合は、コンポストなどで発見されるようにかなりその可食範囲が広いというのが特徴です。

そのため、ミズアブを養殖して、食べられるようにすれば、フードロスを解消した無駄のない食糧生産が可能だということが言えます。

このような特性から、将来的には宇宙食としての活用を目指しています。

昆虫食が宇宙食として注目されている理由

日本のミズアブ研究の狙いとは

ミズアブの活用方法とは

現段階でミズアブの活用については、日本らしさといべきかもしれませんが、魚の養殖への活用について研究が進められています。

そのまま食べるわけではないんですね。

実は、世界の養殖魚の生産量は牛肉の生産量も多くなっています。

そして、魚を養殖するのに使われているのは、もともとは魚粉、つまり魚をエサにして、魚を育てていました。

ただ、それだとマグロ1キロを増やすのに魚が10数キロ必要だったりと、大量の魚で魚を育てるといった形になってしまいます。

それでは魚という天然資源がなくなったときに養殖の限界が来てしまうということで、大豆などで育てる研究が行われました。

ニジマスやコイなとの淡水魚は植物による養殖が可能だということがわかりました。

しかし、タイなどの海水魚には植物では不足する栄養が出てしまうということで、昆虫の活用を開始したということです。

ミズアブをそのまま人が食べるのではなく、魚のエサにして、食べられる魚の量を増やそうという狙いです。

ミズアブ養殖のための2つの課題

ミズアブを養殖するためには、大きく2つのハードルがあります。

養殖技術の開発

1つは養殖技術ですね。

これまでミズアブを育てようとしてきたことはありません。

そのため、ミズアブがどのような環境で育てるのが効率的か、どのようなものを食べるとどうなるかということが明らかになっていません。

コオロギも同様ですが、効率的に育てるための方法、また生ごみを適切に餌として活用するための方法といった養殖技術については今後研究によって明らかになっていくものだと思われます。

品種改良

品種改良については、大きく2つの部分で取り組みが進められます。

1つは家畜化です。

実は、絹を作るための蚕は人が家畜化した昆虫で、食べ物は桑の葉なのですが、桑の木を登ったり移動したりすることはできません。

つまり、人が桑の葉を与えるから生きていけるという状態まで品種改良がおこなわれています。

人間が絹を効率的に採集するため、長い年月をかけて、野生の蚕がなくなり、家畜化された蚕のみになっているんですね。

蚕を食べる。どのように食べられてきたのか、食べ方は?

もう1つは機能性の追加です。

実は、ミズアブを魚のエサにした際にもまだ不足しているEPAなどの栄養素があります。

ミズアブが食べる餌などを工夫することで、不足している栄養素を補い魚用のエサとして育てられるようにするといった機能性の追加が研究されています。

この機能性については、カイコについても取り組みは行われています。

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昆虫食としてのミズアブ

ミズアブについては、10年ほど前から世界中で注目され、ベンチャー企業が資金調達をして、研究開発が行われてきました。

しかし、まだ産業として活用できるほどの解決策が出てきていないのが現状です。

カイコは家畜化するのに約5000年の時間がかかっているといいます。

ミズアブについては、科学の力を活用して超短期間での家畜化を目指していることになります。

他にも家畜化した昆虫としては、ミツバチがいます。

ミズアブの家畜化が成功すると、さらに1種類昆虫の家畜化が成功した事例として加わることになります。

ミツバチ、カイコに続いてミズアブが養殖昆虫となり、三大養殖昆虫となるかもしれません。

面白いのが、カイコは生糸、ミツバチは蜂蜜、ミズアブは魚のエサと活用方法がそれぞれ異なる点です。

蚕は人が食べることもしていますが、ミツバチについては人は食べていません。

ミズアブもこのまま進む感じだと人は食べずにという形になりそうですね。

昆虫食という点では、まだまだ昆虫を食べることに抵抗がある人が多い中、人が食べない昆虫の活用という点でも面白い部分かと思います。

これからのミズアブ研究、大注目です!