カミキリムシの幼虫は、昆虫食業界では最もおいしい昆虫と言われています。味も昆虫界のマグロのトロと言われるほど。
昔はおいしい虫として親しまれていましたが、現在では入手も難しくなっています。なぜ食べられなくなっていったのでしょうか?
この記事ではその理由について迫ってみたいと思います。
カミキリムシの幼虫が食べられていた時代と地域は?
1919年の食用及薬用昆虫に関する調査によると、カミキリムシは13県で食べられていたと言います。
1986年の調査では、8県となっているが、そのうち4県は1919年の報告書にはなかったものだと言います。
また、そのほかの文献も合わせると、青森から沖縄まで幅広い地域で食べられていたことがわかっています。
なぜ食べられなくなったのか?
しっかりした調査は行われていないところですが、カミキリムシの幼虫を食べている人というのはほとんどいないのではないかと思います。
この原因としては「薪を使う機会の減少」にあるのではないでしょうか?
というのも、カミキリムシの幼虫は基本的に木の中にいるんですね。そして幼虫を見つけるのは薪割りをしている時が多かった。
かつては燃料として薪が多く利用されていたため、薪の生産も消費も多く、カミキリムシを発見する機会もたくさんありました。それが、都市ガス、プロパンガスが普及し、薪を使わなくても火が起こせるようになりました。
そうなると、自然とカミキリムシに出会う機会も少なくなり、それを食べる機会も減ったということです。
カミキリムシの食べ方
過去の資料や人に話を聞く限り、カミキリムシは焼いて食べるというのが基本の食べ方のようです。それも焚き火で炙って食べるというのが多かったらしいですね。
先ほども述べた通りカミキリムシの幼虫は薪割りの作業中に見つかることが多い虫。となるとすぐ隣ではお風呂や料理のための焚き火がある、ということが多くなります。なのでそのまま火で炙ってオヤツ感覚で食べるということが多かったようです。
生で食べるのがおいしいという意見も聞きますが、生食はできるだけ避けた方が良いと思います。
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また、カミキリムシの幼虫を捕る時期というのも大切なようで、冬を越し丸々と太ってきたときの方がおいしいそうです。
カミキリムシの幼虫を食べる効果
実は、カミキリムシの幼虫は薬としても食べられていたようです。
疳の虫、つまり子どもの神経症に一種で、夜に発作的に泣き出したり、怖い夢をみたりするもののことで、これを静めるため、つまり子どもを落ち着かせるための薬として利用されていたようです。
また、体を強くする滋養強壮剤としても用いられていたようです。
おいしさだけでなく、薬としての効果もあるというのがすごいですね。
参考文献:昆虫食先進国ニッポン(野中健一)
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