豆腐ハンバーグや大豆ミートというものをスーパーなどで見かけることが多くなってきました。
こういった食品は代替肉と言われ、英語ではplant based meatということで植物由来の肉と言われます。
これは、ベジタリアン向けに開発されたということが発端だったことが影響しているのかと思います。
ただ、日本の代替肉については必ずしも植物由来のものだけではく、いろいろな種類の代替肉があるようです。
今回は、日本の代替肉業界についてご紹介します。
もくじ
代替肉とは
代替肉とは、その名の通り肉に代わる食品という意味です。
そういう観点では、大きく2つの意味があると考えられます。
1つは、肉に代わる味や食感。
ステーキのような味や食感というのは誰もがおいしいと感じるのではないでしょうか。
もう1つは、肉に代わる栄養です。
これはいわゆる動物性タンパク質というものが注目されています。
タンパク質は大豆などから摂れる植物性のものもあります。
その違いは、体に必要とされる必須アミノ酸が含まれる種類にあります。
必須アミノ酸は9種類あるのですが、動物性タンパク質はほとんどがすべてを含んでいます。
一方で、植物性タンパク質の場合は含まれていない種類もあることが多いので、栄養として不足してしまう可能性が高いです。
また、動物性タンパク質の方が植物性タンパク質よりも体に吸収されやすいという特徴があります。
代替肉は、これら2つを満たすように取り組んでいるものが多いですが、完全に同じというものは少ないかと思います。
背景
では、なぜ最近、代替肉が注目されてきたのでしょうか。
先ほど述べたとおり、ベジタリアンの方であれば、肉に代わって食べるものが必要ということになります。
しかし、ベジタリアンでなければ、肉があるのだから、肉を食べれば良いではないかと思われる方も多いかと思います。
実は、代替肉が注目される背景には、将来社会が直面する問題があったんですね。
それは2030年に迎えると言われている世界のタンパク質危機です。
まだまだこれから世界の人口が増える中で、食料の生産量というものは限りがあります。
特に牛、豚、鳥といった畜産業は土地だけでなく、育てるのに必要な飼料や水も大量に必要となっています。
魚についても天然物から養殖物への移行は進んでいるものの、限りある資源という点では同様です。
そういった状況で、このまま人口が増えていくと動物性のタンパク質が不足してしまうというのがタンパク質危機の問題です。
代替肉は3種類!魚は含まれる?その特徴とメリット・デメリット
代替肉は3種類あります。
1つは、大豆やエンドウ豆を使った「植物肉」。
2つめは、動物の細胞を培養した「培養肉」
3つめは、食用コオロギなどの「昆虫食」。
そして、もう1つ含められるか検討したいのが、「魚」です。
植物肉
植物肉というのは、タンパク質を豊富に含んだ大豆が代表的で、大豆のハンバーグなどが挙げられます。
それ以外に小麦由来の車麩(くるまふ)もそうですね。こちらはタンパク質の含有量は肉ほどではありませんが、肉の食感や味を再現するという面で開発が進んでいます。
従来からある大豆や小麦などの栽培のため、新たな栽培技術が必要がなく、用地が確保できれば生産が可能という状況にあります。
他の代替肉が生産方法の部分の研究が主になっているところ、植物肉の場合はいかにおいしく食べるかといった部分の調理の面での技術開発が進んでいるのが特徴です。
また、牛や豚に比べると生産面では効率的で、かつCO2の排出量といった点では環境への影響が少なくて済むといったメリットがあります。
一方で、植物由来なので、栄養面では植物性のタンパク質となるため、完全な肉の代わりといわけにはいかないかと思われます。
培養肉
培養肉というのは、牛や豚などの食べられる部分の細胞だけを育てて、そこを食用に提供ものです。
牛を一頭育てる必要がないので、効率が良く、かつ動物性のタンパク質を摂取することができます。
課題としては、細胞の培養といった技術開発により生産されているため、安全性の問題が完全にクリアになっていないことがあります。
日本だけでなく、世界全体でもそうですが、食として提供するための法整備も今後必要になってくるところかと思います。
また、技術開発の段階のものがほとんどであるため、入手するためには高価で、市場に普及していくにはまだ少しハードルが高い段階にあるかと思います。
昆虫食
昆虫食というのは、その名の通り虫を食べることですね。
世界では1990種類以上の昆虫が食べられていると言われています。
また、昆虫を食べる文化を持っている地域は世界でも約半分を占めます。
日本でもイナゴや蜂の子が食べられたりしていますね。
2019年には無印良品がコオロギせんべいを出したことを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
なぜ昆虫が注目されているかというと、動物性のタンパク質が摂れるということ、また養殖をする中で必要な敷地や飼料、水などが牛、豚、鳥に比べると格段に少なくてすむといったことが挙げられるかと思います。
課題としては昆虫を食べることへのイメージと、味の部分かと思います。
詳細はこちらをご覧ください。
魚
魚については、言うまでもないかもしれませんが、動物性のタンパク質が取れますし、養殖についても一部は確立した技術があります。
また、何よりも食べ方が多様で、調理法も確立されているため、一般に受け入れられているということが挙げられるかと思います。
課題としては、育てられる環境が限られていることと、エサとなる飼料が動物性のものであることが求められる事が多いため、結局動物性のもので動物性のものを育てているといった循環になるため、完全な代替とは言えないのではないかという点かと思われます。
また、魚を育てるための飼料効率も良いとはいえず、クロマグロ1キロを育てるには15キロものエサが必要と言われています。
ただ、ノルウェーのアトランティックサーモンは1.15キロのエサで1キロ成長させることができるような技術ができてきてはいるようで、昆虫並みの飼料効率のものも出てきているようです。
あとは、海で養殖ができる場所がどれだけ確保できるかという点もあるかと思います。
特徴のまとめ
植物肉 | 培養肉 | 昆虫食 | 魚 | |
味 | △(開発中) | ○(肉と同じ) | △(開発中) | ○ |
栄養 | △(植物性タンパク質) | ○ | ○ | ○ |
飼料効率 | ○ | △(開発コストが高い) | ○ | △ |
必要な敷地 | ○ | ○ | ○ | △ |
それぞれ一長一短といったところかと思いますが、これから味の部分では開発が進んでいくと思います。
また、培養肉についても安全性が担保されるときが来るかもしれないので、大いに可能性としてはあるのではないでしょうか。
市場規模は?これからどの業界が伸びる?
代替肉全体の市場規模については、それぞれの分野に分けて見ていく必要があるかと思います。
植物肉
世界の植物肉の市場規模は、2022年の79億米ドルから年平均成長率(CAGR)14.7%で成長し、2027年には157億米ドルに達すると予測されています。(参照:グローバルインフォメーション)
成長要因としては、ビーガンの方が世界的に増えることというものが挙げられています。
ベジタリアンは、肉や魚を食べない方ですが、ビーガンの方は動物由来の食べ物であるはちみつや牛乳なども食べないといった方々のことです。
培養肉
世界の培養肉市場は、なんと年平均成長率(CAGR)95.8%で推移し、2021年の164万米ドルから、2030年には27億8810万米ドルの規模に成長すると予測されています。(参照:グローバルインフォメーション)
環境への影響が少ない、動物を飼育する必要がない、公衆衛生上のリスクが減少するなど、さまざまな利点があることが成長を後押しするということのようです。
昆虫食
昆虫食の世界の市場規模は、2020年から2030年までの年平均成長率(CAGR)は24%。
2020年の9億3083万ドルから2030年には80億ドルまで伸びるとしています。 (参照:Barclays Bank UK)
成長要因としては、2013年に国連食糧農業機関(FAO)で「食品及び飼料における昆虫類の役割に注目した報告書」が公開され、世界の食料危機を解決する手法としての昆虫食が注目を浴びたということがあるかと思います。
養殖魚
水産養殖の市場規模は、2021年から年平均成長率(CAGR)11.3%。
2026年には503億8000万米ドルに達すると予測されています。(参照:グローバルインフォメーション)
今後の見通し
代替肉の代表である、植物肉、培養肉、昆虫食ともにそれぞれ課題を抱えています。
共通して言えるのは、
- おいしさ
- 大量生産技術
- 価格
の3点をいかに克服するかということになるかと思います。
培養肉については、おいしさの部分ではクリアしているかとは思いますが、法的な問題、安全性の問題というのが大きな部分でしょうか。
これから直面する社会課題を解決するといった視点での取り組みで、今後も代替肉には注目が集されていくのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか。
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