学生の時に昆虫食に関わるメリット、デメリット

昆虫食が盛り上がりを見せる中で、学生の活動が目立ってきています。

学生だからの強み、学生だからこその大変さなど、昆虫食で目立った活動をしている3人に聞いてみました。

活動内容紹介

うつせみテクノ合同会社 秋山大知代表

東京農業大学の研究室から誕生した大学発ベンチャーで、2020年4月に法人化しました。

食品ロスを雑食性のコオロギやミールワームに与えて、タンパク質パウダーにするといった形の循環型サイクルの研究開発をしています。

対象は、農村部、都市部の2つのハイブリット型で考えています。

今、食品ロスは社会問題として取り上げられることが多く、それを新しい食品に再利用できるようにしたいと考えています。

コオロギの養殖について、AIやロボットで効率的に生産できるような仕組みづくりも行っており、昆虫食をしっかりと管理することで、食文化を豊かにする技術を開発できるようにしたいと考えています。

FUTURENAUT株式会社 櫻井蓮CEO

高崎経済大学の大学発ベンチャーとして、合同会社として2019年に設立しました。

2020年3月に株式会社化をして、代表取締役になりました。

会社の名前の由来としては、未来の食を受け入れる人ということで、Future(未来)とnaut(宇宙飛行士:astronautなどの語尾)を掛け合わせて、このように命名しました。

大きくはコオロギパウダーの商品化を行っていますが、事業としては大きく3つがあります。

1つは、研究事業です。食選好の研究ということで、どういった商品が好まれるのかということを研究しています。

もう1つは、食育事業です。昆虫食に興味を持ってもらえる人を探していくこと、また食育プログラムの提案などを行っています。昆虫食博物館での展示やコオロギレシピグランプリを行っています。

昆虫食レシピを考えるコツ。レシピグランプリ受賞者に聞く

3つめは、食品事業で、コオロギパウダーを使った商品開発です。パウダーの活用に特化しているところが、他の会社と異なる点です。

私は1997年生まれで、大学進学と同時に群馬県に来ました。今は高崎経済大学の大学院で昆虫食の心理研究をしています。

もともと昆虫食に対して嫌悪感を持っていて、昆虫を食べたくないというところからスタートしました。

実は、未だに昆虫を食べるのは好きではありません。

仕事のために昆虫を食べている部分があるのですが、意外と最近は食べられるようになってきました。

趣味が筋トレなので、コオロギパウダーを食べながら筋肉ができるかを試しています。

昆虫食活動家 かずき

近畿大学農学部に通っている大学生です。

大学では環境問題、IOTを利用した農業について学んでいます。

昆虫食活動家、昆虫食専門のyoutuber(昆tuber)として活動しています。

世間に昆虫食を普及させる、アピールするような活動を2020年3月から始めました。

昆虫食の出会いは、高校で先生がイナゴの佃煮をお土産で持ってきて、そのおいしさに衝撃を受けたことです。

とてもおいしかったので、他の昆虫はどういう味がするのだろうということで、近くの山に一人で入って、片っ端から昆虫を食べるようになりました。

そのような時に昆虫料理研究家の内山昭一さんが昆虫食に関するセミナーが地元・奈良で開催されて、こんな昆虫食の活用方法があるのかと初めて知りました。

大学では周りの人たちに昆虫食の魅力を伝えるためにミールワームの素揚げを持って行き、3割の暮らすまいとに食べてもらいました。

昆虫食を普及していきたいという思いはありつつも、1人で回りの人たちに伝えているだけでは限界があると感じて、2020年5月にyoutube「昆TUBEちゃんねる」を立ち上げました。

翌月の2020年6月にはクラウドファンディングにより、コオロギを活用したコーヒーの商品開発を行って、今ではバッタコーヒーやカイココーヒーも商品として販売を行っています。

コオロギの開発の際には、徳島大学の大学発ベンチャーの株式会社グリラスのフタホシコオロギを、焙煎はサンワコーヒーワークスさんにご協力をいただいています。

コオロギコーヒーの開発のためにクラウドファンディングを行ったのですが、目標40万円のところ、50万円を達成することができました。

王様のブランチやMONOマガジンにもコオロギコーヒーを取り上げていただいています。

開発をしようと思ったきっかけは、昆虫食をPRするには何かイメージができるものがあると印象に残りやすいのではないかということからでした。

他ではまだ出ていない、しかし入門にふさわしいような商品をということで、コーヒーにしました。

実は、市販のコオロギパウダーは粒子が細かく、ハンドドリップには不向きです。そこで、グリラスさんにお願いして特別に粒子の大きいコオロギパウダーにしていただいています。

ようやく活動を認知いただけるようになり、イベントなどにもお声かけいただけるようになりました。

関西を中心に毎月イベントに呼ばれたり、実施したりということを行っていて、最近では子ども向けのイベントが多くなっています。

昆虫食に入門する際に取り組んだこと?

そんな大学生として、昆虫食業界の第一線で活躍しているみなさんですが、昆虫食に入門する際には、どのようなことをしたのでしょうか。

秋山代表
食べてみないと可能性があるかわからないということで、海外製のコオロギのプロテインバーを食べてみたところ、衝撃的なまずさでした。

その後、TAKEOさんのタガメサイダーを飲んで、昆虫でもおいしいものが作れるのだということがわかりました。

昆虫の生産に関心があったので、飼育の方法で味を変えることができるのではないか、また調理の工夫でおいしくなるのではないかとも思いました。

取り組むには社会にインパクトのある活動にしたい、そのためにはいろいろな方々と連携して取り組む必要があるということで、大学発ベンチャーとして取り組むことになりました。

櫻井CEO
私は研究から入りました。なぜ昆虫を嫌われるのかということに関心があったので、本を読みました。昆虫食では内山昭一先生の昆虫食入門などです。

ただ、昆虫を食べた経験もないといけないと思って、昆虫食文化が根強く残っているタイへ行き、屋台の昆虫食を食べたり、養殖現場を見たりしました。

そのような体験をしても、やはり昆虫そのままで食べるのはありえないと思い、パウダーでの商品開発を行っています。

かずきさん
昆虫食に出会った当時はまだ高校生で、お金がなかったので、近くの山で昆虫を捕って食べることにしました。さすがに、親に昆虫を買ってとも言いにくかったので。今でも家で食べ物を与えていないみたいだからやめてと言われたりします(笑

最初に自分で捕まえて食べたのは、バッタ、セミといった身近な昆虫でした。高校の同級生や大学ではすぐにカミングアウトしていて、イナゴを食べた次の週には近所の観賞用の魚を販売しているお店でミールワームを買って学校に持っていったりしていました。

学生として取り組むことのメリット、デメリット

かずきさん
昆虫に詳しい教授がいて、相談できるのは良い環境だと思います。ただ、感覚としては苦労の方が多いかなと思います。

というのも、大学生だからと軽く見られたり、大学生が目立ちたいからやっているだけだといった反応が多いからです。

もちろん、大学生だからということで応援してくれる方もたくさんいらっしゃいますね。

櫻井CEO
大学発ベンチャーとは言っていても、大学の公認だったり、お金をもらったりというわけではありません。大学の名前が使えるので、地元の企業に声をかけてもらえる機会は多いと思います。また、若い学生が自分たちの将来について考えていると発信することが、共感を得られている部分もあるのではないかと考えています。

一度就職をしてしまうと、その環境を手放してまで起業をしようとはなかなか思えないのではないかと思います。社会人になると生活レベルも上がると思うので、それを学生時代のものに戻して起業というのは難しいのではないでしょうか。

学生のうちにやりたいことを見つけることができて、それを仕事にできるような挑戦ができているのはとても良かったと考えています。今は卒業後も今の事業を続けようと考えていますが、学生という身分はある意味保険にもなるので、そういった部分でも学生というのは活用できると思います。

ただ、学内では昆虫を食べる変な人という見られ方をしていた時期があるのも確かです(笑

秋山代表
うつせみテクノも公認ではなく、半公認といった感じで、大学の施設や資金が使えるということはありません。東京農業大学という名前が使えるのは強いと思っていて、イベントなどでOBだからと話しかけてくれたり、OBから商品開発の連絡をいただくことがあります。食品は信頼性が重要なので、大学の名前が使えるというのは大きいと思います。

ただ、大学の名前があるからこそ、情報発信については気をつけないといけないと思っています。昆虫食についてはまだまだ研究途上のところもあるからです。

つらいところというと、イベントなどで気持ち悪いことやっているねといった否定的な言葉をさらっと言われて立ち去られる方がいることですね。

その後、昆虫食に対して否定的な意見を言われても、そのような方々はビジネス上の対象者ではないので、あまり気にしなくても良いのではないかといった話もあるなど、大いに盛り上がった会になりました。

登壇いただいたみなさま、どうもありがとうございました!