ソムリエに聞く!昆虫食に合うワインはこれ!その理由は?

無印良品のコオロギせんべいを始め、昆虫食に触れる機会が増えてきた方も多いと思います。

そんな中、お酒とのペアリングという点で昆虫食をとらえる方も出てきたようです。

今回は、日本で最も昆虫食を食べた経験が多いワインソムリエ!?(セミたま調べ)の本田久仁子さんに昆虫食に合うワインについてお伺いしました。

お話をお伺いする中で、昆虫食の食べ物としての特徴に改めて気付かされました。

ソムリエとしてのキャリア

本田

京都の大学に通っており、祇園のバーでアルバイトをしていました。
そのお店で取り扱いのあった「ムーラン・ナ・ヴァン」という、フランスボジョレー地区で生産されている赤ワインがすごく美味しく、そこから色々なワインに興味を持ちはじめました。

ワインに関する仕事がしたいと思い、新卒でワインの卸、販売をしている専門商社に入社しました。入社して1年間は店舗で主にワインを購入したいお客様に対し、接客をし、2年目からは本社勤務で店舗の在庫管理などをしていました。アルバイトからの経験があったので、入社2年目でワインアドバイザーの資格を取得しました。

資格も取れたので、もう少しお客様に近い仕事ができたらと思い、長野県上高地のホテルにIターン転職し、レストランで提供するワインのチョイスや、ホールスタッフとして接客をしながら、フロント業務や集客の仕事もしていました。

ワインを取り扱う仕事に従事して5年が経つとソムリエの受験資格が得られるので、ホテル勤務2年目で、今度はソムリエの資格を取得しました。

その資格取得をきっかけに、一旦ワインと仕事を切り離し、別の畑の仕事を20年近くしていますが、趣味としてはずっとワインを楽しみ続けています。

お酒に詳しくなったワケ

伊藤
就職してからは、ワインは仕事として飲んでいたんでしょうか?
本田
店舗ではお客様に説明が必要なので新商品などが入荷されると試飲などをしていました。それに加えて、同期とは毎週のように大阪でワインを飲んでいました。

店舗はワインを中心とした業務用酒販店だったので、ワインだけでなくお酒全般詳しくなりました。

ソムリエになるためには「筆記」と「実技」の試験があります。筆記は大学受験のイメージで、分厚い本があり、産地や醸造法などの暗記が必要になります。その勉強は業務時間外にしていましたが、当時の接客の仕事に直結していたこともあり、スキルアップの意味でもモチベーションを持って取り組むことができ、そのため試験にも1回で合格することができました。

昆虫食とワイン

本田
昆虫食との出会いは、セミ会がきっかけです。

セミ会に参加することを決めたとき、「セミに合うワインってなんだろう?」とふと思ったんですね。

ソムリエを取得した後、やり切った感があったのとあまりワインについて知識を語ることも好きではなく、仕事としてではなく趣味として飲み続けてきました。

どうしてもワインって、形式ばったものを気にしてしまう、ちょっと面倒くささがあると思うんですけど、ワインは本当は雑多な感じでワイワイ飲むのが好きなんですね。

今回はそんなあまり真面目ではない、たまたまたま資格を持っているだけの私が「セミに合うワインを探す」という役割を担っていいのだろうか、、、とは思ったんですが、今まで誰も考えたことがないテーマなんじゃないかと思って、ちょっと面白くなってやってみた感じです。

伊藤
周りの反応はどうでしたか。
本田
「なにそれ?」という反応でした(笑

もちろん、合わせるものはセミでなくても良かったと思いますが、セミだったからこその面白さがあったと思います。

昆虫食に合うワインとは

食材とワインの合わせ方

本田
よく赤ワインは肉、白ワインは魚と合わせると良い、という話があると思います。料理とワインの合わせ方については色々ありますが、「特徴が似た味を合わせる」というのが基本だと思います。

例えば、酸味を感じる料理は、酸味が豊かなワインと合わせると良いです。

デザートの時に飲む甘口の貴腐ワインも、甘さの釣り合うケーキやスイーツと合わせるのが王道です。

一方が何か強い特徴を持っていると、同じくらいの特徴がないものと合わせた時、もう一方が弱くなってしまい、どちらかが引き立たなくなってしまうからなんですね。

昆虫食にワインを合わせるときに気をつけるべきこと

本田
昆虫食にワインを合わせるときに意識したのは2点です。1つは、昆虫食の味。もう1つは、昆虫食の調理が油を使っているものが多いという点です。

昆虫食は、肉のようにジューシーなものはあまりありません。そのため、どちらかというと白ワインの方が合うと思います。ただ、コオロギ、中でもフタホシコオロギなどは香りが強いので、香りの強めのワインが良いと思います。

伊藤
2点目の調理に油を使っているという点ではどうでしょうか。
本田
油で上がっているので、その脂分を飛ばせると良いなと思いました。そこでスパークリングワインが良いのではと思ったところです。

昆虫食はスナックのような要素があるので泡は合うと思います。

食前酒のアペリティフなどに近いものが合うのではないでしょうか。

伊藤
赤ワインはだめですか?
本田
先ほどもお話ししましたが、赤ワインはジューシーで重厚なものが多いので、肉料理などのメインディッシュに合います。昆虫にはメインディッシュほどのインパクトはないので、赤ワインの方が勝ってしまい、昆虫食が引き立たないと思います。そういう点で、白ワインの方が良いと思いました。

ただ、サゴワームやフタホシコオロギなどちょっと独特の匂いや風味がするものについては、赤ワインも合うかもしれません。

ミールワームや、コオロギの中でも、ヨーロッパイエコオロギの方がエグみがないので、ワインもあっさりしたものと合わせた方が良いので、白ワインか、若くてあっさりした赤ワインと合わせるのが良いと思いました。

昆虫食に合うワインはこれ!

伊藤
具体的な銘柄を教えていただいてもよろしいでしょうか。
本田
それは、リースリング(ゼクト)だと思います。

リースリングというワインは香りの強い白ワインです。フランスのアルザス地方に有名なワインがたくさんありますが、リースリングといえばドイツです。

昆虫食にはその中でもゼクトが合うと思います。

ゼクトもリースリングも白の中でも香りが強いほうですが、エグミがあるので、フタホシコオロギはより強いものを、赤ワインを合わせても面白いかと思いました。

赤ワインについてはピノ・ノワールは合うには合うのですが、もっと合うのはありそうです。シラーやメルロのようなもう少し強めのものもものによって合うと思います。これは、昆虫の種類によって変わってくると思います。

コオロギはゼクト(リースリング)が良いと思います。

コオロギパウダーを使った食品と合うワインは?

伊藤
コオロギパウダーを使った食品にどう合わせるかといったものもありますがそれはどうでしょうか。
本田
ワインは通常の製造法だと基本的には辛口になり、甘口にするには特別な醸造法が必要で、それなりに高価です。世の中に出回っている安価な甘口ワインは、香料や甘味料などの添加物が加えられています。

気軽に合わせるという観点でいうと、甘い食べ物ではない方がいいと思います。

伊藤
2021年のコオロギレシピグランプリでは、だし茶漬けが一位でした。
本田
やはりやさしい味のものに合うんですね。

弱いものでコオロギを際立たせる方が良いのだと思います。

ふりかけ的に食べるものが良いのかもしれません。

コオロギパウダー自体がそういう性質で素材を引き立てるものという形なのかもしれません。

強い味のものに入れると喧嘩になっちゃうのだと思います。

あと、コオロギには少しくさみがあるので、それを消してくれるものがあると良いと思います。

伊藤
臭みを消すワインもあるのでしょうか。
本田
例えばジビエは特有の野生っぽさがあります。赤ワインの「シラー」などは、生肉や血液っぽい感じがあり、「同調」することによるマスキング効果があります。

そういった観点で、コオロギパウダーを使用した食品を開発し、ワインとの相性を考えるのも面白いですね。

マーケティング観点からの昆虫食:お酒ともっと合わせた販売を

本田
昆虫食はおつまみ的な要素が強いと思います。

お酒と昆虫食という分野は面白いと思いました。

お酒を飲んでいるからこそ、昆虫食を食べてみようということになる人も多いと思います。

たとえば、飲食店や居酒屋のお通しで出されてもみんな食べないかもしれないですが、お酒が入ってきてから出されたら食べようかなという気持ちにはなるのではないでしょうか。

昆虫食単体で出されると抵抗感がある人も多いと思いますが、おつまみとして出されると良いなと思います。

それに、強いお酒は何かを食べながら飲まないと胃が落ち着かないんですよね。

ワインと一緒にナッツが出されるように、同じようにスナック感覚で昆虫食が出されたら面白いと思います。

マーケットとしてもお酒と一緒に売っていったほうが良いんではないでしょうか。

伊藤
MNHさんはおつまみという観点で意識して取り組んでいますね。

日本一流通している昆虫食を作ってます。株式会社MNH

本田
日本酒の場合は、煮物っぽい感じになると良いかもしれないですね。

コオロギも佃煮が良いのではないでしょうか。

ビールにも合うと思います。

地ビールを合わせてみるといったものも良いと思います。

地ビールは味が立っているので、せっかく地方のものと合わせているのであれば、そことコラボレーションをしてみると良いような気がします。

伊藤
どうもありがとうございました!