新聞社と昆虫食というと、一見どういった関係があるのだろうと考える方もいらっしゃるかもしれません。
長野県にある信濃毎日新聞社では、2022年から昆虫みらいプロジェクトということで、昆虫食の商品開発や普及のための活動に取り組まれています。
今回は、
信濃毎日新聞社 ビジネス開発局 ビジネス開発部 部次長
白井 政孝さま
信濃毎日新聞社 ビジネス開発局ビジネス開発部兼デジタル編集部
小内(おない) 翔一さま
にこれまでの取り組みと今後の展望についてお伺いしました。
長野県の郷土食としての位置づけ、また今後インバウンド向けの事業展開といった可能性についてもご紹介いただきました。
もくじ
昆虫みらいプロジェクトがスタートするきっかけ
私は3月まで新聞販売店の担当者でした。
長野県の新聞社として、新聞社ならではの新しい事業を行おうという考えのもと、昆虫食に注目しました。
将来的には昆虫食の原材料供給までを見据えたもので、食品販売と昆虫食のPRからスタートしたものになります。
昆虫食は長野県で盛んに食べられてきたということ、郷土食の一つとして地元新聞社がやる意義があるのではないかということでご賛同いただけたのではないかと考えています。
美食としての昆虫食を開発しようというコンセプトで取り組んでいます。
商品開発とその反響:製造よりも売れるかが不安
高価格帯ではありましたが、インターネットなどで当初はかなりの数が販売できたので、当時の担当者はいけると思ったという話を聞きました。
当初はレストランで昆虫食メニューも提供していました。今でも昆虫食のお菓子を販売しています。
ポップコーンもすでに900個ほどをお求めいただいています。
カレーについては長野県内で見つかりました。
ポップコーンについては、神奈川県の有限会社クローバーさんというスーパーで見かける銀色のフライパン型ポップコーンを作る会社にご協力いただくことができました。
工場の方々からも売れるのか心配されました。
実際、こんなに売れるとは思わなかったというお声をいただいています。
インターネットでもお求めいただけますが、店舗の方が多いですね。
珍しいお土産ということで、面白がって買っていただけているのではないかと考えています。
カイコのさなぎそのものが20匹入っていて、見た目的にはインパクトがあります。
作って食べるものなので、バーベキューやキャンプなどでの体験型的な商品として歓迎されているのではないかと考えています。
あとは、これは昆虫食に限らずですが、どういったタイミングで食べるのかということがわかると良いというのもありますね。
長野県の郷土食としてのポジションニング確立に向けて
立ち上げ当初から考えると、その後の世の中の流れが想定よりも厳しくなったこともあり、当初のスタート段階のフェーズで今は止まっています。
昆虫食自体は今の商品ラインナップを維持しつつ、長野県の新聞社として一つの郷土食のカテゴリーとして残したいと考えています。
実は、現在、昆虫食以外の食品も太田シェフと開発をしています。
郷土食の食品事業の一つとして昆虫食を位置づけていこうと考えているところです。
社内には収益部門以外に地域の文化振興を意識したイベント、事業があるので、そういった昆虫食の文化の振興という部分にも貢献できるというのもあると思います。
観光庁「地域一体型ガストロノミーツーリズム推進事業」としての展開
岡谷市のシルク、カイコを活用した昆虫食を美食として国内外に発信していく予定です。