セミの寿命は短いといわれます。
それは、どういうことなのでしょうか。
今回はその謎に迫りたいと思います。
生まれてから幼虫まで
セミは卵で産まれます。
卵は木の枝先や樹皮の下に産み付けられて、卵からかえると幼虫として出てきます。
生まれるのは、セミの種類によりますが、その年の秋のこともあれば、翌年のこともあるようです。
アブラゼミは卵のまま越冬し、翌年5月ぐらいに生まれます。
そのため、アリなどに食べられないでいられる必要が出るので、樹皮の下など見つかりにくい場所に産むんですね。
卵としては、冬を越すことができるということです。
幼虫の時の過ごし方
幼虫になったセミは、土の中にもぐって、木の樹液を吸います。
土の中なので、主に木の根から吸う感じですね。
幼虫の期間もセミの種類によって違います。
2年~6年ぐらいが多いようですが、欧米だと13年周期、17年周期で地上に出てくるセミというものもいます。
幼虫が羽化するために出てくるのは、木の根元からというのが多いのは、木の根を食事処としているからなんですね。
幼虫の間も土の中で冬を越すことができます。
なぜ幼虫の期間が長いのか
数年間幼虫として過ごすセミですが、なぜ幼虫の期間が長いのでしょうか。
それは、幼虫が木の樹液を吸うことと深く関係しています。
樹液というのは、木の栄養なので、木にとっては樹液を吸われると困ってしまいます。
すべて吸われてしまっては木が枯れてしまうことになるからです。
そこで、木としても、樹液を吸われないような防御手段を講じるため、一度にたくさん吸えないようになっているんですね。
セミとしては、吸えなくなった場合は他の木を探すか、また吸えるようになるまで待つしかありません。
そういった時間が数年間という成長までの時間になっているようです。
逆に言うと、栄養がたっぷり取れれば数年かからず出てこられるということですね。
自然とのバランスが保たれているからこその期間ということのようです。
成虫としての過ごし方
幼虫が羽化するために木を登る時間は、5分ぐらいです。
その後、羽化までにかかる時間は20~30分程度になります。
つまり、幼虫として地上に出てきて、1時間しないうちに成虫になるんですね。
ただ、成虫になっても数日間はうまく鳴くことができないと言われています。
そのため、成虫としての本格的な活動が始まるのは、幼虫として地上に出てから数日後ということになります。
では、成虫としてはどの程度生きられるのでしょうか。
世間では1週間程度といわれていたりしますが、実際はもっと生きるようです。
1か月程度生きるセミもいるようです。
しかし、長くてもその程度で、冬を越すことはできません。
成虫になった年に死を迎えることになります。
つまり、卵で約1年、幼虫で数年、成虫で1か月程度といった寿命になります。
私たちの目に触れる期間は約1か月なので、短いと感じますが、土の中で過ごしている時間が長いので、寿命はそれなりに長いと言えるのではないでしょうか。
成虫のセミは、卵を産むことが使命です。
逆に言うと、卵を産み終わるとその使命を果たしたとも言えると思います。
成虫になったセミは羽化したばかりの元気な時は木の高いところにいて、なかなか網を使っても取りにくい場所にいます。
そして、卵を産んだり、時間が経って元気がなくなってくると、低い位置に降りてきて、最後は地面に落ちるといった形になります。
一般的に私たちがセミを捕まえられるのは、どちらかというと使命を果たした弱ったときのセミになっているのだと思います。
セミを捕ったらかわいそうでは?
そんな声も聞かれる中、生態系への影響はどうなのでしょうか。
そんなことを考えてみました。
詳しくはこちらをご覧ください。