昆虫食の成分と栄養価の特徴に迫る。商品別栄養ランキング!

今、様々な業界から注目されている昆虫食。その昆虫食にも昆虫の種類や会社によって違いがあります。

それらの違いに注目しながら、昆虫食の魅力について深掘りしたいと思います!

昆虫食が豚肉、牛肉、鶏肉に勝るメリット

圧倒的に無駄が少ないコオロギ

昆虫食が未来食と言われる1つの理由として、昆虫は可食部の割合が高く、無駄が少ないというところです。下の図は各動物の全体重に占める可食部の割合です。

豚、鶏は55%、牛が40%なのに対して、コオロギは驚異の80%!

しかもこれは硬い足などを取った場合なので、先日取材させて頂いたハイジェント株式会社さんによると、絶食させ腸内容物を出し切ってからは一切捨てることはないため、可食部100%と言っても過言ではありません。

昆虫食へ新規事業展開した狙い ~ハイジェント株式会社に学ぶ

栄養が豊富で、育成に使用する土地が少なく、成長速度が速いなど、多くのメリットがありましたが、さらにコオロギはほとんどの部分を食べることが出来るということなんですね!

食品ロスが注目されている今、食糧廃棄量が少ないことは環境問題に大きな貢献が出来ます。

昆虫種によって異なる栄養成分

昆虫は世界中で食されており、日本でも江戸時代以降の庶民も食べていた記録が残っています。

大正時代に行われた食用・薬用昆虫の全国的なアンケートでは、ハチ14種、ガ類11種、バッタ類10種など、合計で55種もの昆虫が41都道府県で食されていることが記録されています。② 

現在でも約2000種が昆虫食として世界で食べられており、特に昆虫食としての歴史が長いイナゴ、ハチノコを含む昆虫9種と、食用3大肉(牛肉、豚肉、鶏肉)の成分を表にしました。

成分エネルギー(㎉)たんぱく質(g)脂質(g)炭水化物(g)灰分(g)
イナゴ40576.07.48.6ND
デュビア46175.117.80.2ND
ミルワーム52954.631.47.0ND
ハチノコ25016.27.230.2ND
カイコ蛹12067.832.2NDND
トノサマバッタ14767.521.2ND4.59
コオロギ(成虫)ND63.919.920.74.20
セミ(幼虫)15967.517.611.63.28
イエバエND59.719.0ND7.26
牛肉(肩ロース)21256.040.70.52.0
豚肉(肩ロース)15172.223.80.03.85
鶏肉(胸皮付)24452.146.00.01.9

(100gあたり)

ND:Not determined

牛肉:乳用肥育牛肉赤肉(生)

豚肉:中型種肉赤肉(生)

鶏肉:成鶏肉皮付き(生)

(イナゴ、デュビア、ミルワームは③、カイコ蛹、トノサマバッタ、コオロギ、セミ、イエバエ、牛肉、豚肉、鶏肉は④、ハチノコは⑤から参照)

※ハチノコ、牛肉、豚肉、鶏肉は生鮮重ベースに対して、その他の昆虫は乾燥重ベースになっているため、単純に比較は出来ませんが、昆虫食が比較的高たんぱくであることなどは読み取れます。

カロリー

カロリーについて昆虫は幅広くミルワーム、イナゴでは食用3大肉の約2倍もあります!逆にカイコ蛹やトノサマバッタ、セミでは食用3大肉と比べてもかなりの低カロリーです。

たんぱく質

たんぱく質はハチノコを除いて、どの昆虫種も食用3大肉と同等かそれ以上の量を含んでおり、1番多いイナゴでは含有率76%と、4分の3以上がたんぱく質であることが分かります。

脂質

脂質は種類によってばらばらですが、どれも食用3大肉と比べると比較的低いことがわかります。

つまり…

日本では主に、肉用牛は黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種と一部乳用種のみ。

豚は中ヨークシャー種、バークシャー種、ランドレース種、大ヨークシャー種、ハンプシャー種、デュロック種の6種。

肉用鶏は白色コーニッシュ種と白色プリマスロック種の2種の交雑種が多くを占めています。

これに対して昆虫は、世界で約2000種類もあり、需要によって多くの選択肢から選ぶことが出来るということになると思います。

例えば、発展途上国では少ない量で多くのエネルギーを摂取できたり、非常食としても活用できたりするイナゴを選んだり、ダイエットなどでたんぱく質を多く取りつつも、カロリーを押さえたいときはカイコの蛹を選んだりすることができます。

昆虫食関係企業のまとめと比較

広がり続ける昆虫食業界!

日本の昆虫食に関する企業、団体数は2019年の時点では、世界で2番目に多い33社でしたが、現在ではその約1.5倍の約50社にも増えています。⑥、⑦近年では大学による昆虫食開発も進んでおり、高崎経済大学のFUTURENAUT株式会社や、東京農業大学のうつせみテクノ合同会社など、日に日に増加しています。

商品別の昆虫食栄養成分表

日本では養殖から製造、販売まで行っているTAKEOを筆頭にBugs Farmやうつせみテクノなど企業によりそれぞれ特色のある商品が販売されています。最近では無印良品でも昆虫食が販売され話題になっています!

企業商品熱量(kcal)たんぱく質(g)脂質(g)炭水化物(g)食塩相当量(g)
TAKEOタガメサイダー(飲料)410010.30
大豆とコオロギのクッキー(焼菓子)5501634450.5
☆山梨かいこ蛹 甲州みそ味48045.527.712.15.0
☆宮崎スズメバチ4505317201.7
☆広島こおろぎ50356.528.35.70.8
☆Mole Crickets(オケラ)47459.722.87.60.3
☆Giant Waterbug(タガメ)52747.532.710.71.5
☆Black Scorpion(チャグロサソリ)43166.614.29.31.1
☆Armor Tail Scorpions(キョクトウサソリ)48558.823.010.60.5
☆Black Ants(黒アリ)40446.517.614.90.3
☆Zebra Tarantula(タランチュラ)37470.27.56.44.8
☆Cicada(セミ)45171.113.810.60.06
☆Rhino Beetles(カブトムシ)40670.77.015.10.3
無印良品コオロギせんべい2134.61.545.42.1
FUTURE NAUTコオロギのゴーフレット(ミルク)5236.721.276.50.9
コオロギのチョコクランチ53333.333.3300.3
THAILAND UNIQUEBUGAPOOP TEA(虫フン茶)33012.51.2566.30
☆Giant Waterbug(タガメ)4955027.512.51.75
☆Super worms(スーパーワーム)57343.3408.60
☆Diving Beetles(ゲンゴロウ)46861.317.3160.33
☆Black Crickets(フタホシコオロギ)47755.324.781.2
☆Jamaican Crickets(ジャマイカンコオロギ)51055.328.780.67
開天堂コオロギアイス1384.43.420.70.1
INNOCECTクリケットプロテインチョコレート39768.78.6711.72.33
ナチュラルクリケットパウダー4816819.77.90.1
bugoom☆SAGOWORMS(ゾウムシの幼虫)6002045200.25
コオロギうどん39025.43.464.27.4
☆BAMBOO WORMS(竹虫の幼虫)71032650.20.2
Ellieシルクフードチップス42011.711.7771.0
C.TRIA(コオロギ)クッキー(ココア)5008.93052.20.2
(コオロギ)クランチ4784021.134.41.2
(コオロギ)カレー(トマト)894.52.112.90.61
はまる食品コオロギアイス1384.43.420.70.1
次世代良質昆虫Foodコオロギラーメン32811.51.769.32.0
スーパーコオロギおつまみキャラメル味45448.621.621.62.7
EAT  GRAB☆CRICKETS(コオロギ)50764.8268.5ND

100gあたり

☆:姿あり

ND:Not determined

(生産・販売など、一部のみ国内のも含む。)

(ホームページ若しくは商品の栄養成分表示を参照。)

なんと日本で手に入る昆虫食はこんなにも沢山あるんです。

商品別栄養素ランキング

主要成分のそれぞれの含有量をランキング形式で見ていきたいと思います。

たんぱく質ランキング

1位…Cicada(セミ) 71.1%

販売元…TAKEO

2位…Rhino Beetles(カブトムシ) 70.7%

販売元…TAKEO

3位…Zebra Tarantula(タランチュラ) 70.2%

販売元…TAKEO

たんぱく質は多いものではタランチュラ、セミ、カブトムシが70%越え!

惜しくも4位のINNOCECTさんのクリケットプロテイン(チョコレート)はボディメイクやダイエットしたい方向けの商品で、コオロギ製品の中では1位になりました。

脂質ランキング

1位…BAMBOO WORMS(竹虫の幼虫) 65%

販売元…bugoom

2位…SAGOWORMS(ゾウムシの幼虫) 45%

販売元…bugoom

3位…Superworms(スーパーワーム) 40%

販売元…THAILAND UNIQUE

脂質はかなりばらつきがあり、たんぱく質が多かったタランチュラやカブトムシでは7%代と少ないですが、トップ3が竹虫の幼虫、ゾウムシの幼虫、スーパーワームと幼虫に脂質が多く含まれることが分かります。

カロリーランキング

1位…BAMBOO WORMS(竹虫の幼虫) 710㎉

販売元…bugoom

2位…SAGOWORMS(ゾウムシの幼虫) 600㎉

販売元…bugoom

3位…Super worms(スーパーワーム) 573㎉

販売元…THAILAND UNIQUE

カロリーのトップ3は、脂質ランキングと同様の結果になりました。やはり脂質はエネルギー源として重要なんですね。

炭水化物ランキング

1位…シルクフードチップス 77%

販売元…Ellie

2位…コオロギのゴーフレット(ミルク) 76.5%

販売元…FUTURENAUT

3位…コオロギラーメン 69.3%

販売元…bugsfarm

炭水化物はクッキー、ゴーフレット、コオロギせんべい、コオロギうどん、コオロギラーメンなど加工食品に多く含まれていることが分かります。

これは昆虫の成分というよりは、何と一緒に加工しているかという要素が強いのかもしれません。

他にもコオロギの高菜フランスパンやくるみチーズパン、いもむしゴロゴロカレー、カイコクッキー、クリケットコーヒー、こおろぎサブレ、こおろぎビスコッティ、コオロギのバームクーヘンなどまだまだ面白い商品が沢山種類があります。

今回は同じ昆虫種はかなり割愛しましたが、同じコオロギの素揚げなどでも会社によって少し違いがあり、それを比べてみるのも面白いと思います。

今回まとめてみて思ったのは、昆虫食といえば昆虫をそのままの姿のイメージが強く、そのように販売しているところも多くありましたが、それ以上に様々な加工方法で調理されて、バリエーション豊かな商品が沢山あり驚きました

スイーツだったり、主食だったり、おやつだったりと、日常生活の多くの場面で食べる機会があり、まだまだ可能性を秘めていると思います!

ですが、ほとんどの加工食品がコオロギパウダーを使用しており、昆虫食の未来を切り拓く先駆けとしてコオロギがかなり優良だとは思います。

一方で、他の昆虫種ではまだまだ多くの加工食品に使えるほど発展しているわけではないということなので、沢山の昆虫を様々な加工食品として食べられるようになるといいですね!

bugsfarmさんでコオロギ食品の共同開発をすることが出来、新たなレシピが開発されています。もし良いアイデアが思いついた方は挑戦してみてはいかがでしょうか!

まとめ~調べて分かった4つのこと

今回は、色々と比べてみて分かったことは4つ!

  • 昆虫食は可食部がほぼ100%で、食糧廃棄する量が少ないので環境に優しい
  • 栄養満点の昆虫食。しかも昆虫の種類によって栄養のバランスは様々なので、多様な場面で食べ分けることが出来る
  • 日本の昆虫食関連団体数は50社を超え、日に日に増加中
  • 昆虫食の種類は牛、豚、鶏と比べてとても多い

昆虫食は未来食として魅力的で発展途上の業界ですが、まだまだ様々な課題が残っていて、沢山の種類の昆虫食はありますが、レシピと言えるほどの昆虫種は少ないのが現状です。

新たなレシピ案などは誰でも作ることが出来るので、これからの発展に期待しつつ、是非気になった昆虫食商品にチャレンジして食べてみてほしいです!

 

〈感想〉

お読みいただきありがとうございました。今回様々な商品、昆虫種をまとめ、私も知らなかったものが沢山ありました。栄養成分なども記載しましたが、そこはあくまで1つの情報として見てもらって、そこよりも初めて食べられると知った昆虫、面白い名前や気になる商品をご自身でも調べて頂いて、少しでも興味が湧いてくれたら嬉しいです!そしてぜひチャレンジしてみて下さい!

インターン生:大澤 英輝

私たちセミたまでは、昆虫食に関する情報発信やイベント実施を通して地域の活性化を目指しています。

こういった情報にご関心のある方、一緒に取り組んでみたいなという方はぜひお友だち登録をお願いします。

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参照文献

  1. https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11736775_po_haifu_chousa29-21.pdf?contentNo=1&alternativeNo=
  2. https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11341902_po_full.pdf?contentNo=1&alternativeNo=
  3. https://oiu.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1096&item_no=1&page_id=13&block_id=21
  4. https://ci.nii.ac.jp/naid/120005759729
  5. https://calorie.slism.jp/111244/
  6. https://prod-assets-bugsgroove.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/tmg_block_page_image/file/18/BUGS_GROOVE_%E6%98%86%E8%99%AB%E9%A3%9F%E3%82%AB%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%95%E3%82%9A2019.pdf
  7. https://www.mushi-can.com/