最近、昆虫食自動販売機に関する問い合わせが毎日のようにいただいています。
みなさん、悩まれていることは同じで、どの程度の費用がかかるのか、どういった運営形態があるのかといったことのご質問をいただいています。
そこで、私たちの把握している範囲内での情報をすべて公開し、今後の昆虫食自動販売機の普及に向けて貢献できればと思います。
もくじ
前提となる条件
場所探しはどうする。その時に注意すべき点は?
設置する場所については、設置者が自ら見つける必要があります。
では、場所探しをする際に注意すべき点は、3点です
立地
当然ですが、人通りが多いところの方が人目につきやすく、販売の売れ行きは良いです。
ロードサイドの車で訪れるようなところについては、お店の前など集客力が一定程度あるところに置かれるというのが一般的です。
実際、どれだけの人が見るかによって、売り上げは大きく左右されます。
注意すべき点としては、お店の場合だとリピーターが一定数いるため、人の行きかいは多いように見えても、長い間置いておくと、売上が鈍化してくるという点です。
スペースの確保
当然ですが、自動販売機を置けるだけのスペースが必要になります。
これは、公道にはみ出してはいけないということに加えて、自動販売機が倒れないようにするため、地面に打ち付ける必要があるので、そのあたりの工事ができる環境であることも含まれます。
車道に面していると、商品の入れ替えの時の扉の開け閉めが車の邪魔になったりもするので、注意が必要です。
最低限のスペースとして、幅1.2メートル、奥行き70センチ程度は求められてくると思います。
屋内や屋外でも屋根がある場合は、天井も2メートル近く求められてくると思うので、高さの確保が必要です。
電気の確保
自動販売機は電気で動くため、電気を引ける環境が必要です。
夏場は品質の管理の点からも一定の温度に保つ必要にあるため、電気を引ける環境にあるというのは確認する必要があります。
売れる商品は何か。どういったラインナップをそろえるのか。
現状、昆虫食業界で売れるのは、昆虫そのままのタイプです。
特に、サソリやタランチュラのような危険だと思われるようなものほど売れ行きが良いという状態です。
これは、怖いもの見たさで買ってみる、罰ゲーム的に食べてみるといった購入のされ方を昆虫食がされているからだと思います。
最近は、パウダーフレーバーを使ったものなどが出ていますが、自動販売機での売れ行きとしては圧倒的に昆虫そのままのタイプです。
この流れが変わってくると面白いなと思っているのですが、それにはもう少し時間が必要な気がします。
まだ商品レパートリーが少ないので、まだまだ今後検証が必要ではありますが、自動販売機では購入してすぐ食べるといった人たちが一定数いるため、その場で食べられる系のものの方が良いかもしれません。
自動販売機の2つのタイプのメリットとデメリット
昆虫食用の自動販売機は、大きく2つのタイプがあります。
1つは、飲料系の自動販売機。
もう1つは、食品系の自動販売機です。
どちらのタイプも保温機能はついています。
また、どちらのタイプも課題としては、軽いものは対応しないということです。
飲料系のメリットデメリット
最初に導入されたのは、飲料系の自動販売機でした。
ただ、飲料系なので、缶と同じように大きさを筒の形にしないと販売ができません。
そのため、プラスチックの筒や瓶に入れて販売しているといった形になっています。
中には、重さを補うため、プラスチックの筒に重りを入れているところもあります。
そういった点で、商品以外のコストがかかるといった形になります。
また、プラスチックの筒に入れる手間がかかったりもしますが、瓶の中に入った状態で販売している会社もあるのでそういった会社の場合は手間が少なくて良いかと思います。
食品系のメリットデメリット
食品系の自動販売機の場合は、商品をそのまま陳列することができます。
ただ、商品の重さによっては、重さが足りないことがあるので、その場合は、何かの重りをつけるなどの工夫が必要になってきます。
また、置き方についても縦と横の長さによって、パッケージデザインは縦置きでも横置きで陳列しないといけないといったことも出てきます。
他には、陳列商品がすべて見られるので、賞味期限の確認などは楽にできるかと思います。
両替機や電子マネー対応は必要?
自動販売機は基本的に1000円札が1枚しか入らないと思います。
そのため、2000円の商品を置いた場合は、500円や100円で支払うことになります。
そうすると、両替機を置いた方が良いといった判断も出てくると思います。
では、電子マネー対応のものにしたら良いのではと思われる方もいらっしゃると思います。
確かに、そうすることで小銭を用意する必要はなくなるのですが、電子マネーの使える自動販売機が高額になること、また電子マネーを利用することで手数料が別途かかることといった問題が発生してくるため、あまり現実的ではないと考えています。
購入かリースか
自動販売機を用意する方法は2つあります。
それは、購入かリースかです。
購入の場合は、最初にお金を払って、その後はお金を払う必要はなくなります。
一方、リースの場合は5年~6年ぐらい支払いをすることになります。
これは、資金があるかないかといった点での選択が一つ。
もう1つ、リースの場合は、メンテナンスも含まれて行われることもあるので、メンテナンスに不安がある場合はリースにするといった方法もあります。
支払う合計金額としては若干リースの方が高くなるとは思います。
また、次に述べますが、リースの場合は新品であることが前提になってきます。
新品か中古か
金額で最も大きな部分はここです。
新品を購入するか、中古を購入するかという点です。
セミたまでは食品系の自動販売機で実施していますが、費用としては自動販売機単体で120万円ぐらいかかっています。
リースの場合は、月々の支払いは2〜3万円になりますが、5〜6年支払い続けるという形です。
結局支払総額は同じようにかかりますが、手元の資金があるかどうかによって、形態は変わるかと思います。
ただ、次に述べる委託の形式であれば、そもそも自ら自動販売機を所有しなくても大丈夫なので、よりリスクの少ない方法で昆虫食自動販売機を始めることができます。
独自運営か委託か
運営をするにあたって、どこまで携わるかで3つのパターンに分けられます。
下にいくに従って、自らやることはなくなり、また収益性も低くなります。
- 独自運営 自動販売機を所有して、商品も準備する。
- 一部委託 自動販売機は所有せず、商品はおまかせし、補充のみ行う。
- 全委託 自動販売機は所有せず、商品も補充もおまかせする。
委託をすれば、自動販売機の準備から、商品ラインナップの構成、さらには商品の補充までやってもらうことができます。
ただ、商品の補充までおまかせできる会社は少なく、かつ対象エリアも限定されているのでご注意ください。
委託の場合は、商品の売上の数%が収益として払われる形になると思います。
設置の際の電気代なども委託先が支払ってくれるので、経費の精算なども不要です。
ちなみに、自動販売機の電気代は1ヶ月3,000円〜4,000円ぐらいです。
運営形態別のメリットとデメリット
前に述べた独自運営、全委託、一部委託の3パターンのメリットとデメリットについて考えたいと思います。
独自運営のメリット・デメリット
メリット
- 商品ラインナップを自由に決められる
- 価格設定は自由
- 売上がそのまま収入になる
デメリット
- 自動販売機の設置費用や仕入れ、ランニングコストは自ら負担
- 売れない場合のリスクは自ら負う
- 商品入れ替えを行う手間がかかる
商品を自分で決めたい、毎日その場所にいるので、管理の手間がかからないといった場合にはこの方法が良いかと思います。
一部委託のメリット・デメリット
メリット
- 自動販売機の所有が不要で設置費用の負担がない
- 売れる商品の選定をお任せできる
- 万が一商品が売れない場合もマイナスになることはない
デメリット
- 収益率が低い
- 商品の入れ替えの手間がかかる
こちらは、商品の入れ替えを行う程度であればできるけど、どういった昆虫食が売れるのかわからないといった方には良い方法かと思います。
ちなみに、昆虫食自動販売機で売れる商品についてはこちらで解説しています。
全部委託のメリット・デメリット
メリット
- 自動販売機の所有が不要で設置費用の負担がない
- 売れる商品の選定をお任せできる
- 万が一商品が売れない場合もマイナスになることはない
- 商品の入れ替えの手間がない
デメリット
- 収益率がさらに低い(設置の場所代のみ)
- 販売状況が把握しにくい
全部委託の場合は、場所貸しに近いので、収益も売上に応じた割合というよりは、設置の場所代をもらえるといった形になることが多いと思います。
そのため、たくさん売れていても、そうでなくても一定の金額が入ってくるといった形になると思います。
昆虫食自動販売機を設置するインパクトだけを求める場合は、この方法が良いかもしれません。
自分で運営する際の注意点
委託といった方法もありますが、収益を追求するにはやはり独自で運営するのが良いかと思います。
その際の注意点についてお知らせします。
賞味期限・消費期限
1つは賞味期限・消費期限です。
食品なので、必ず販売できる期間というのが決まっています。
現在、一般的に販売されているものも3〜4ヶ月程度のものが多いです。
そのため、大量に購入しても3〜4ヶ月のうちにすべて販売できなければ在庫として残って、廃棄をする必要が出てきます。
補充頻度
賞味期限の関係で、大量にストックができないので、ちょこちょこ追加購入をしなくてはいけないといった手間も出てきます。
セミたまの自動販売機の場合は、1ヶ月に1回追加購入をしています。
本当は、もう少し1回あたりの購入料を多くして、2ヶ月に1回の補充にするということも可能です。
私たちは収益性よりも、昆虫食の普及といった観点から新しい商品を常に入れられるような遊びの部分を作りたいため、あえてそのような形にしています。
認知を広げるために行うこと
宣伝は必要か
設置した後に、その場所に昆虫食自動販売機があることをお知らせしないと誰も買いに来てくれません。
そのために何かPRをする必要があるのかという部分も心配かと思います。
こちらの記事を書いている2022年3月時点ではまだまだ昆虫食自動販売機の設置場所は少なく、認知も低いため、各都道府県に設置すればメディアの取材が入るといったことも多いです。
まだ設置のない県であれば、県内初ということで地元メディア取材は確実に入ると思います。
また、珍しさからSNSに投稿されることも多く、自然と認知が広がっていきます。
セミたまについても全く広告は行いませんでした。
ただ、最近は同一県内での昆虫食自動販売機設置の事例も出てきています。
また、ロードサイドの目立たない場所に設置する場合も出てきているので、そういったときはPRが必要になるかもしれません。
一方で必ず必要だと思われるのは、メディアの取材でもSNSでも映える形にすることかと思います。
その部分での工夫について解説します。
自動販売機のデザイン
自動販売機をラッピングして、目立たせることができます。
追加でコストはかかりますが、昆虫食自動販売機としての認知を広げる必要があるので、必須だと考えています。
ラッピング代はデザイン費を除いても10万円ぐらいかかるので、決して安くはありませんが、大切な部分だと思っています。
今の昆虫食業界はまだまだゲテモノとして販売する傾向が強いため、デザイン性というよりは、目立たせることに重きを置いたデザインが多いですが、セミたまの場合は、昆虫食に対するイメージを変えたいといった想いを重視して、コンセプト重視のデザインにしました。
のぼりを立てる
コンセプト重視にした自動販売機ということと、認知を上げる必要性からのぼりも作成しています。
ただ、ここでもコンセプトと認知性のバランスをとったのぼりにしています。
のぼりを設置する場合は、出したり、閉まったりということも必要になると思うので、のぼりの設置の可否によって、自動販売機のラッピングデザインの内容も工夫すると良いと思います。
雨の日にはのぼりは出せないこともあるので、雨の日の認知も上げたいということであれば、ラッピングのインパクト重視が良いと思います。
昆虫食自動販売機の設置や運営ができる会社
最後に、昆虫食自動販売機の設置や運営ができる会社についてご紹介します。
株式会社ティ・アイ・エス
バグズファームさんと一緒に取り組まれている自動販売機の会社です。
自動販売機を扱われる会社なので、中古での運営も可能です。
東京23区と静岡に設置されています。
亜細亜TokyoWorld株式会社
昆虫食が食べられるレストラン、米とサーカスを運営されている会社です。
昆虫食自動販売機用のオリジナル商品の製造もされています。
秋葉原や高田馬場に設置されています。
はまる食品
昆虫食自動販売機としては最も多い設置数だと思います。
一般の飲料用の自動販売機に補充な商品を取り揃え、自動販売機本体の相談も可能です。
いかがでしたでしょうか。
昆虫食自動販売機の設置ノウハウについては、ほぼすべてではないかと思います。
もし、この点がわからないといった部分があれば、お気軽にお問い合わせください。
こちらをご覧になった方が昆虫食自動販売機を導入し、昆虫食普及に貢献いただけると幸いです。
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