実店舗の導入で客層が拡大!昆虫食ブランド『bugoom』の取り組み

福岡に昆虫食の実店舗をお持ちのbugoomさん。

日本サプリメントフーズ株式会社という会社のブランドです。

2021年には昆虫食カップ麺、業界初のコオロギうどんを発売されました。

そんなbugoomさんを一手に取り仕切る関幸祐(せき こうすけ)さんにお話をお伺いしました。

昆虫食ブランド「bugoom」とは?

平林
昆虫食に取り組まれたきっかけは何だったのですか?

関さん
bugoomというのは昆虫食ブランドの名前で、会社は日本サプリメントフーズ株式会社になります。もともと健康食品、化粧品を扱っている会社なのですが、その原料の一部をタイで作っていたんですね。2018年頃にタイは昆虫食が盛んで、昆虫自体、栄養価が高いということで、健康食品としての商品化という話がでました。そこからタイにある製造工場とつながって、販売することになったという経緯です。
最初はネット販売でしたが、2020年5月18日には実店舗がオープンし、翌年3月には2店舗目をオープンいたしました。

平林
なぜ昆虫食の店舗を開くことになったんですか?

関さん
未知のジャンルですし、オンラインで販売するとお客さんの反応が見えなかったんですね。そのため、実店舗を構えて、今後どうするかを考えていこうということになりました。また、福岡には昆虫食専門店がなかったので、新規性があるかなと思いました。

お客さんの反応は?

平林
店舗を開いた反響はいかがでしたか?

関さん
開店前は罰ゲーム目的で買うお客さんが多いかと思っていたのですが、昆虫食に関心がある人の方が多いという印象です。オープンしてすぐに無印良品がコオロギせんべいを販売したということもあって、パウダーではなく、昆虫そのままのものを食べてみたいというお客さんが多かったです。

平林
世代や男女比はいかがですか?

関さん
お店のあるエリアが福岡市の大名エリアという繁華街で、若い人たちが多いエリアということもあってか、お客さんは、20代ぐらいの若い世代が多かったです。男女比は半々ぐらいですね。
2021年に入ってからはyoutuberの方に取り上げてもらえて、10代ぐらいのお客さんが増えました。小中学生の家族で、お子さんが興味を持って来るという人もいれば、30代ぐらいの親御さんが興味を持って、「将来食べるかもしれないよ」と言いながら子どもを連れてくるということもありますね。

平林
人気の商品はどういったものになりますか?

関さん
イエコオロギが人気ですね。小さくて食べやすいということ、定番のコオロギを食べてみたいということが理由ですね。

平林
サソリやタランチュラなどが多いのかと思ったらそうでもないんですね。

関さん
サソリやタランチュラは罰ゲームや人を驚かせたいといった感じで購入される方が多いですね。
興味があるので食べてみたいという方はコオロギや幼虫系を購入されますね。

平林
どういったものがお勧めですかと聞かれたらどうされていますか?

関さん
姿が残っているものと残っていないもののどちらが良いか。また、甲殻類系の味かナッツ系味のどちらが良いかといったことを伺います。

平林
それで希望を伝えたら幼虫系だったりすると、抵抗があったりしませんか?

関さん
人によっては、ナッツ系の味とか当たり前のように言われても困ると言われる人もいますね(笑
来店される方の7割ぐらいはこういったコミュニケーションをしながら購入されますね。

業界初、コオロギうどんの裏側

平林
コオロギうどんを発売されましたが、作ろうと思ったきっかけや経緯はどういうものでしたか?

関さん
昆虫の形が残っていない商品がなかったので、第1弾として作ってみようと思ったというのがきっかけです。
ただ日本で製造する場合は、昆虫がアレルギー品目で認められていないという問題や工場で異物混入として捉えられてしまうという問題から、なかなか作ってくれるところが見つかりませんでした。
そんな中、コオロギうどんを作っていただいている製麺所さんはすぐにご了解いただけて、試作などもすぐにしていただくことができました。

平林
コオロギうどんを作るにあたって大変だったことは何ですか?

関さん
コオロギとうどんの配分比率ですね。コオロギの比率を高くすればコオロギを感じられますが、コストは高くなります。一方で麺のコシが失われるといった部分もあり、最適な配分にこだわりました。

平林
他の会社の商品との差別化という点ではどういったところを意識されていますか?

関さん
コオロギうどんは国内初の昆虫を使ったインスタント麺です。そのため、他の会社にはないオリジナルなものになっています。
他の商品については清潔感や手に取りやすいように工夫しています。たとえば、パッケージを白にすることで、手に取る抵抗感が減るのではないかと思っているところです。

bugoom全般を手掛ける、関さん

平林
関さんの昆虫食との出会いはいつですか?

関さん
タイの工場から昆虫食から送られてきて、会社でコオロギを食べたのがきっかけです。もともとメディア系の担当だったのですが、新規ブランドの担当としてbugoomの担当になりました。
今ではだいぶ慣れて、夏はセミを捕って食べました。サクラケムシやカミキリムシを食べてみたいと思っているのですが、なかなか手に入らないんですよね。もしたくさんあるよという方がいらっしゃれば、ぜひ分けて頂きたいです(笑

平林
関さん自身がおいしいと思う商品はなんですか?

関さん
今月(2021年12月)1日に発売したばかりのシロアリですね。

平林
アリは酸っぱいと言いますよね。

関さん
実はシロアリの分類はゴキブリ目でアリではないんです。木を食べるからなのか燻製品のような香ばしさがあって、油分も多いため油脂感のあるナッツみたいでおいしいです。

平林
シロアリはゴキブリなんですね。

関さん
そうなんです。なので、ホームページのカテゴリーもゴキブリにしています。怖いもの見たさで買ってみけど「意外と美味しい…」という風になってもらえたら良いなと思っています。

平林
ホームページの動画に外国人の方を起用しているのは、欧米の方が昆虫食については進んでいて、そういったイメージを活用したものなのでしょうか。

関さん
そこまでは正直考えていませんでしたね(笑 今後そういう風に言いたいと思います(笑

平林
ホームページに成分表示までしっかり書いてあってすばらしいなと思いました。パウダーを購入する方はプロテインのような形で使われる方が多いのでしょうか。

関さん
パウダーについては、余計なものは全く入っていない昆虫100%なので、水に溶けないんですね。そのため、お菓子や料理に使う人が多いと思います。

平林
AI診断も関さんが考えられた企画なんですね。

関さん
実店舗をやってみて、昆虫食に興味があるけど、どれが良いかわからないという人が多いと思いました。そのため、入り口としてAI診断というのをやってみようと思いました。

これからのこと

平林
今後こうなっていったら良いなというのはありますか?

関さん
bugoomとしては、姿が残っている状態でも食材として認識してもらえるようになったら良いなと思っています。たとえば、かっぱえびせんを食べる時、エビを連想しても気持ち悪いと感じる人はいないと思います。それと同じように、昆虫食も姿を連想しても気持ち悪くならないというところまでにしていきたいですね。

平林
見た目問題というのはまだまだ課題ですね。

関さん
やはり見た目のハードルは高いですが、食べてみると意外と美味しかったと言っていただけることもありますので、まずは食べてもらうためのきっかけづくりからと思いAI診断などのコンテンツ制作や、SNSからの情報発信に取り組んでいます。
また、商品ラインナップについても今はドライスナックの商品がほとんどですが、飼料にこだわっておいしさの質を上げたり、味付けや調理方法を変えたものなどのバリエーションも増やしていければと思っています。

平林
本日はどうもありがとうございました!

感想

平林
これまで昆虫食はオンラインショップなどで買っていたのですが、多くのショップが他社の昆虫食商品も置いているし、会社によってどんな違いがあるのか、見分けがつけられずにいました。

しかし..!今回bugoomさんのお話を聞いて、bugoomさんはじめ、それぞれの会社が「美味しい昆虫食」に向けて日々研究を重ね、オリジナル商品を生み出していると分かりました。また、昆虫食をより多くの人に手にとってもらうために、前例がなく正解の分からない昆虫食普及に試行錯誤しながら邁進していることを知って、その開拓精神にヒシヒシ感銘を受けました。

今度、福岡へ足を運ばれた際は、ぜひ寄ってみてはいかがでしょうか?