杉並区の公園で食用の目的でセミ等の大量捕獲をするのをおやめくださいという管板が出ているという報道がされています。
きっかけは、区役所にセミを乱獲している人がいるという連絡がきたことだと言います。
これまで昆虫食に縁がなかった人もセミって食べれるんだと認識が広まったきっかけになったかと思います。
ただ、セミを全く捕ってはいけないのかなど、誤解を生むようなきっかけにもなりかねないので、しっかりと杉並区役所のみどり公園課にその趣旨も含めて確認をしました。
根拠は条例
今回の食用のセミの大量捕獲をやめるようにという管板を設置したきっかけはどういうものなのでしょうか。報道ではセミの乱獲をしている人がいるという連絡があったのを受けてということが言われています。
それよりも前から禁止されていたんですね。
そもそも条例で定められていることだったんですね。
(行為の制限)
都市公園内では、次の行為をしてはならない。ただし、第1号から第7号までについては、あらかじめ区長の許可を受けた場合は、この限りでない。
(3)鳥獣魚貝の類を捕獲し又は殺傷すること。
こちらの条例の目的を実現するためには、セミを大量に捕獲することについては望ましくないということで、今回の看板に至ったようです。
実際、何匹ぐらいからは捕ってはいけないのでしょうか。
杉並区立公園条例では、以下のような目的が定められています。
(目的)
この条例は、杉並区立公園(以下「区立公園」という。)の設置、管理等について必要な事項を定め、区立公園の健全な発達と利用の適正化を図り、区民の福祉の増進と生活文化の向上に寄与することを目的とする。
こちらに反しない範囲での採集をお願いします!
2020年8月26日時点で杉並区内のすべての公園でこちらの看板は掲示されていたようですが、9月9日時点では一部公園のみとなりました。
セミの時期が終わったら、すべて撤去するそうです。
今回の報道は、かなりの反響を生んでいますが、実はこのような看板は杉並区が最初ではないんですね。
2018年川口市で同様の事例が発生。今は…?
昆虫食界では話題なっていたことですが、すでに2年前の2018年に埼玉県川口市で同様の事例が発生していました。
今回、2年経っていたこともあり、同様の看板を掲載した経緯やその後についても、川口市の聞いてみました。
2018年のセミの幼虫の採取禁止の看板というのは、その後どうなっているのでしょうか。
看板を掲載してから、その後の状況はどうなりましたか?
特にその後問題が発生することがなくなったようで良かったです。
動植物の禁止をした理由というのはどういうものだったのでしょうか。
やはり条例という根拠がしっかりあってのことなんですね。
(行為の禁止)
何人も、都市公園においては、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。ただし、法第5条第1項、法第6条第1項若しくは第3項又は第22条第1項若しくは第3項の規定に基づく許可を受けた者については、当該許可に係る事項の範囲内においては、この限りでない。
(4) 動物を捕獲し、若しくは殺傷し、又は放出すること。
公園で生き物を捕るときには、条例を確認するのが良さそうですね。
杉並区の条例にある通り、生き物を捕るに際しては、公園の健全な発達と利用の適正化に反しな範囲で、また区民の福祉の増進と生活文化の向上を阻害するものではないような形にするのが望ましいと思います。
そして、このような趣旨に反しない形でセミを捕ることについては禁止はされないようなので、個々人で楽しめる範囲でセミ捕りはできると良いかと思います。
そして、セミはおいしく食べることができるんです。
ちなみに、東京都立公園条例にも同じ条文があります。
(行為の制限)
都市公園内では、次の行為をしてはならない。ただし、第一号から第七号までについては、あらかじめ知事の許可を受けた場合は、この限りでない。
三 鳥獣魚貝の類を捕獲しまたは殺傷すること。
そして、こちらでは
ということが記載されています。(2018年08月27日 報道発表資料 生活文化局)
商業目的??
おそらく、今回採集されていた方も、2018年の川口市での場合も商業目的で採集していたのではないかと思います。
セミ会で食べるときも、1人5匹も食べれば十分満足といった感じなので、個人で楽しむ分には人目を引くような大量捕獲をすることはありません。
昆虫食の商業目的で採集するのは、やはり天然物ではなく、養殖物を狙うというのが基本になると思います。
看板についても、今回は食用等でという用途の指定があったので、かなりの反響が出たようですが、今後は食用でというのを記載しなかったり、セミ限定にしない形での看板がメジャーになっていくような気がします。
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