昆虫食として取り上げられることも多い「蜂の子」(ハチノコ)。
かつては身近な食べ物だったため、世代によっては食べたことがある人も多いかと思います。
しかし都会育ちの人や若い世代の人は、聞いたことや見たことはあっても食べたことはない人が多いのではないでしょうか。
今回は蜂の子の味や調理方法、種類などをまとめてみました。
もくじ
蜂の子は本当に蜂の子供だった
蜂の子というのは、本当に蜂の子どものことです。つまり、蜂の幼虫やサナギのことですね。
幼虫やサナギは飛べないので蜂の巣の中にいます。なので食べるためには、蜂の巣をとって1匹1匹を巣の中から取り出さなくてはなりません。
この記事の筆者は実際にやってみましたが、なかなか大変です。
でも、やってみると結構はまります(笑)
ちょっと難しいのがサナギと幼虫の見分け方。
実は幼虫もサナギも白くて同じような形をしています。どうやって見分けるかというと、幼虫は食べ物を食べているので、フンがたまっていて黒くなっているんですね。
食べるときは、フンの部分はおいしくないので、取り除く必要があります。そのあたりもひと手間必要なところです。
サナギはいくつか段階があって、幼虫と同じように白くてフンがない状態のもの。少し手足ができあがっているもの。ほとんど成虫に近いものという感じになります。
手足ができてくると、蜂の子というよりは、もう蜂ですね。
蜂の子を巣から取り出す動画はこちら
何の蜂の子なの?蜂の種類は?
蜂といっても何種類もいます。スズメバチだけでもオオスズメバチ、キイロスズメバチ、モンスズメバチなどなど……。日本に生息する蜂の種類は4千を超えるとか。
蜂の子といっても何の蜂の子供のことなのでしょうか?
実は、どんな蜂でも蜂の子は蜂の子なんです。
ミツバチ、スズメバチ、クロスズメバチ、アシナガバチ、クマバチなど、蜂であればみんな蜂の子になるようです。
ただ、昆虫食文化が残っている長野県では、主に食べられるのはクロスズメバチになります。地域によっては、ジバチ、スガレ、ヘボと呼ばれていますね。
岐阜県の自治体では、蜂の子を捕るために巣が捕られ過ぎてしまうということが起きて、一部の自治体で条例が定められ、規制をしていたりもします。
昆虫食のための捕りすぎによる規制についてはこちらをご覧ください。
蜂の子を食べるのは日本だけではない
蜂関係の食品というと、はちみつ、ローヤルゼリー、プロポリスがありますが、こちらは世界でも食べられています。
蜂の幼虫、サナギである蜂の子を食べるのは日本だけだという掲示が、銀座NAGANOにありました。しかし、調べてみると、世界でも食べられている地域はあるようです。
昭和天皇もお墨付きのおいしさ
一部地域でずっと食べられ続けている蜂の子。もちろん、それはおいしいから食べられているんですね。
調理の方法としては、佃煮や甘露煮をよく見かけますが、他にも好みによってさまざまな調理方法がとられています。
そして、なんと昭和天皇も蜂の子が好きだったという記録もあります。
ハチの子の大和煮をご飯と混ぜたハチの子ご飯は昭和天皇の好物で、1987年天皇が手術を受けられて食欲がなくなったときでもハチの子をまぶした麦入りご飯は召し上がった。
1947年に長野県を視察され、松本市に宿泊された折、ハチの子を食べられた。その夕食後、天皇にお目にかかった元侍従をしていた戸田康秀氏が、「陛下はハチの子をお召し上がりになりましたか」とお聞きすると、「ウン、今食べたよ。非常においしかった」とお答えになったという。(昆虫食古今東西)
蜂の子の栄養価は?実は炭水化物が豊富!
蜂の子の栄養はどのような感じなのでしょうか。
主な栄養素
成分表としてはこのようになっています(可食部100gあたり)。(参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂))
昆虫食にしては珍しく炭水化物が多いんですね。
※灰分は、食品中の無機質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等)の総量を反映していると考えられています。
必須アミノ酸というものをご存じでしょうか。タンパク質の中でも、体内で合成できないもののことを必須アミノ酸と言います。
全部で9種類あるのですが、蜂の子はそのすべてが含まれているんですね。そのため、貴重なたんぱく源として位置付けることもできます。
無機質
- ナトリウム 680 mg
- カリウム 110 mg
- カルシウム 11 mg
- マグネシウム 24 mg
- リン 110 mg
- 鉄 3.0 mg
- 亜鉛 1.7 mg
- 銅 0.36 mg
- マンガン 0.76 m
ビタミン
- ビタミンA 542μg
- ビタミンE 2.0mg
- ビタミンK 4 μg
- ビタミンB1 0.17 mg
- ビタミンB2 1.22 mg
- ナイアシン 3.8 mg
- ナイアシン当量 6.5 mg
- ビタミンB6 0.04 mg
- ビタミンB12 0.1 μg
- 葉酸 28 μg
- パントテン酸 0.52 mg
- ビタミンC (0) mg
健康食品としては、タンパク質が豊富ということがうたわれていますが、炭水化物が多いようです。ご紹介したのは蜂の子の缶詰を対象とした調査なので、結果が異なるのかもしれません。
実際はどんな味?食感は?
蜂の子は実際はどんな味なのでしょうか。
一般的に売られているものは、しょうゆなどで味付けされているものが多く、蜂の子そのままの味を味わったことがある人は少ないかもしれません。
このサイトを運営する「セミたま」では蜂会というイベントを実施して、スズメバチの巣を捕ってその場で蜂の子を食べるということをしてみました。
調理方法は、蜂の子のしゃぶしゃぶです。
フンを取った幼虫とサナギを30秒ほど沸騰したお湯でゆでます。それをポン酢に着けて食べる感じです。実際に食べてみると、魚のフグの味がしました。
白子の味と言われることが多いようです。
幼虫の方は、プチっという感じで旨味が広がります。サナギも味は同じような感じですが、どの程度成虫に近づいているかにも食感は変わります。
成虫に近づいていれば近づいているほど、固い部分が増えてくる感じです。
サナギになっていればフン抜きをしなくて良いのが楽ですが、育ちすぎるとサクサクした食感というか、固い部分が増えてくるので、サナギになりたてが一番食べやすいかもしれません。
食べたメンバーは、みんなおいしいと言っていました。また、1匹ずつではなく、一口でたくさん食べたいという声もあったほどです。
蜂の子は買うと高級食材なので、蜂会のような感じでしゃぶしゃぶで食べられると良いですね。
蜂会情報はこちらをご覧ください。
昆虫料理研究家の内山昭一さんによると、蜂の子は鰻の味と同じだということが言われています。
成分としてほとんど同じということで、これはタレのかかっているバージョンも、かかっていないバージョンも似ているということです。
詳しくはこちらから。
昆虫食の中でも美味しいと評判の蜂の子。皆様も安全第一で味を楽しんでみてくださいね。
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