子どもたちに大人気のカブトムシ。そんなカブトムシが昆虫食としても活用できる可能性が非常に高いようです。
菌糸やバナナなどの食料廃棄物を利用し、カブトムシ生産をしている昆虫バイオスタートアップ株式会社TOMUSHIの代表取締役CEO石田陽佑さんにインタビューしました!
わかりやすく言うと、ゴミを食べるカブトムシを活用した事業です。
カブトムシの昆虫食としての可能性を求めるだけでなく、カブトムシを仕事として生きていくことができる、昆虫好きにはとてもありがたい環境が実現しそうです。
もくじ
カブトムシを昆虫食で活用しようと思ったきっかけ
結果、交渉事は私が出て、兄がバックオフィスということでという役割分担をすることになりました。実際、今回も研究開発の段階で失敗が重なって会社が傾いたことがありました。その時、銀行からの融資を受けたのですが、すべて私が保証をしました(笑
なぜカブトムシは昆虫食に適しているのか。コオロギとの違いは?
カブトムシが昆虫食に適している理由
カブトムシの種類によって、うまくいくものからそうでないものもあり、ゴミや廃棄物を食べて、それがタンパク源になるのであれば、ゴミをタンパク源にできるということを発見し、昆虫食の模索が始まりました。
コオロギとの違い
さらに、カブトムシは共食いもしません。生産効率の高さとして、タンパク源としては他の昆虫よりも良いのではないかと考えています。
群れて生きていた場合、感染症に1匹感染するとみんなに感染してしまいます。カブトムシも病気になるものが一定数いるのですが、他へ感染するのを防ぐためか、病気が発症する前に地表に上がってきて、乾燥して死んでしまいます。進化の過程でそうなったのだと思います。何度土の中に戻しても地表に出てきてしまうんですね。なので、1つのケースの中で大量に病気が発生して死んでしまうということはないですね。
カブトムシを素早く大量に育てることができるようになった理由
飼育しているカブトムシは、通常のカブトムシより成長スピードが早いものを開発して、3ヶ月で出荷できます。また、食料廃棄物を利用した土でも死なないものをかけ合わせて品種改良をしています。
成長が早い理由は、山口大学から論文(高緯度地域の昆虫は素早く成長するか?:外来種を用いた局所適応の解明)が出ています。もととなる種は秋田県大館市で見つけたのですが、冬に氷点下20度まで下がります。南のカブトムシと北のカブトムシでは生活環境が異なり、南のカブトムシは冬眠はしませんが、東北のカブトムシは冬眠をしなくてはいけません。そのため11月までに成長を終えなくてはいけないということで、成長スピードが早い種が育ったんですね。そのため、冬眠をさせなければ半年かからずに成虫になるということになります。
カブトムシを昆虫食として活用していく上での課題
ただ、味については、天然のものは幼虫のまま食べると腐葉土の匂いで美味しくないと思います。内蔵を取った後、オーブンで火を通すと匂いが気にならなくなるということがわかってきたのですが、どうしたら美味しく食べられるかについてまさしく取り組んでいるところです。
特に私たちは廃棄物を扱っているので、乳酸菌のどういう種類を入れると風味が良くなるのかという研究を弘前大学としています。
万が一逃げ出しても、海外のカブトムシは冬を越せないので死んでしまいます。なので、生態系への影響は脱走をしても問題がないかと思います。
事業として運営していく中での課題と今後の展望
現状の売上比率では、昆虫食の売上はほぼなく、なかなか時代が追いついていないのだと思います。昆虫食に取り組む企業は題材は違いますが、同じ課題を抱えていると思います。他社と協力しあって、どう市場を広げていくかが大切かと思います。
これから、世界に展開して、貧困地域で生産工場を作って、食料廃棄物を食べるカブトムシで、雇用を生むことができたら、世界の課題を解決できるようになるのではないかと思います。そうすれば、よりカブトムシも、昆虫も評価されるようになって、すごくワクワクします。やっていること自体が楽しいです。
インターン生:大澤 英輝