昆虫食に取り組む企業や団体が増えています。
その中で、必ずぶつかる壁が4つあります。
もくじ
養殖か天然物か
昆虫食として普及をするためには、大量に安定して供給する必要があります。
これまでの日本国内での昆虫食は多くは外国からの輸入で、日本国内での養殖というのは一部がスタートしたのみになります。
また、長野県で食べられる蜂の子、ザザムシ、イナゴ、カイコというのはその多くが天然物を採集するという形です。
天然物だと供給量に限界があるため、今後普及していくためには養殖規模の拡大、養殖技術の向上が必須条件になります。
見た目・イメージ
人は自分たちと動物は違うという思いを心の奥底で持っています。
そのため、昆虫を食べるというのは動物と人間が同類だと認識するようなきっかけとなるので、心理的な嫌悪感を持ってしまいがちです。
また、見た目も抵抗感がある人が多く、加工食品にするといった見た目の改善やSDGsや食育といった観点からの意識改革が必要になってきます。
そもそも世界の20億の人は食生活の中で昆虫を食べているため、本来であればそれほどハードルの高いものではないはずです。
安全性
これまで罰ゲームや奇抜な食べ物といった扱いを受けてきた昆虫食だからこそ、自然にいるものを生で食べたり、毒のある昆虫を食べたりという事件が発生する可能性というのは否定できません。
豚肉を生で食べないように、釣った魚をそのまま踊り食いすることはないように、昆虫も調理することが前提です。
一般的な食事として安全に食べるための知識の普及が必要だと思いますし、養殖のものであれば、飼料の安全性、飼育環境の安全性など基準をクリアする必要があります。
日本では昆虫食に関する基準がしっかりと定められていない部分もあるため、今後この分野は進んでいくことになると思います。
レシピのレパートリー、調理方法
昆虫食としての食材はあっても、それを料理しようという人が少ないというのが実際です。
そのため、おいしく食べる方法がわからないというのが一つの悩みです。
コオロギレシピグランプリでは400近いレシピが出されましたが、まだまだ開発途上といったところだと思います。
コオロギだけでなく、養殖の取り組みが進められるカイコやバッタなどもレシピが増えていくのではないかと思います。
実際、調理の専門家の方には、まだまだ昆虫食への抵抗がある人が多いので、進んで取り組もうという方も少ないと思います。
逆に言うと、昆虫食料理人を志す方は今がチャンスです!
これからの昆虫食業界で発生すること
昆虫食はまだまだ取り組みがスタートしたばかりなので、これから大きな変化が起きると思います。
昆虫食食材の淘汰と二極化
必ず発生することとの1つとしては、昆虫食としての食材の淘汰です。
現在、コオロギがダントツ人気ですが、後進の食材として多くのものが出てくると思います。
また、ゲテモノとしての昆虫食ニーズも継続して残り続けるはずで、おいしく食べられる昆虫食とゲテモノ、罰ゲーム的に扱われる昆虫食の二極化が進むと思います。
昆虫食基準の確立
厚生労働省やJAS規格が動いて、昆虫食が安全で食べられるための基準ができると思います。
できれば、昆虫食に先進的に取り組んでいる長野県が長野県モデルを作り、それが国に採用されるようなボトムアップの取り組みになっていくのが良いのではないかと考えています。
信州昆虫食コンソーシアムといったものがあるので、期待したいですね。
競争の激化
昆虫食については、海外の取り組みが進んでいます。
特にタイなど東南アジアでのコオロギ養殖の動きは産業として成立しているものなので、大きな強みがあると思います。
日本の国内生産だからこその安心感というのは強みになると思いますが、価格や技術的な部分での海外との競争というのは出てくるのではないでしょうか。
無印良品がコオロギせんべいに取り組みましたが、市場が大きくなっていくに従って、日本国内の大手の動きというのも注目されます。
私たちセミたまでは、昆虫食に関する情報発信やイベント実施を通して地域の活性化を目指しています。
こういった情報にご関心のある方、一緒に取り組んでみたいなという方はぜひお友だち登録をお願いします。