昆虫食が気持ち悪い(嫌悪感を抱く)理由とその克服方法は?

昆虫を食べるという話をすると、多くの人は「よく食べられるね」とか、「気持ち悪くないの」といった反応が返ってきます。

なんで人は昆虫を気持ち悪いと感じるのでしょうか。

一方、なぜ昆虫を食べる人たちは気持ち悪いと感じないのでしょうか。

こういった嫌悪感には原因があったんですね。

昆虫食に対する嫌悪感ついて考えたいと思います。

6つの感情

人はどんな国や文化圏でも共通して6つの感情を持っています。

それは、喜び、驚き、恐怖、嫌悪、怒り、悲しみです。

日本人は恐怖と嫌悪をあまりはっきり分けなず怖いという言葉で恐怖と嫌悪の両方を示すこともあります。

たとえば、ゴキブリが怖いといった感じですね。

ただ、恐怖の場合は、身の危険を感じる場合に使われるものなので、この場合は嫌悪になります。

では、嫌悪とはどういう感情かというと、気持ち悪いという気持ちです。

気持ち悪いの起源は、腐った食べ物などがあったときに、不潔な空気を吸わないようにしよう、あまり近寄らない方が良さそうだといった反応だそうです。

差し迫った身の危険はないものの、近づかない方が良さそうなものを避けるといったもののようです。

名古屋大学の川合伸幸は、虫が人に及ぼす嫌悪感の原因についてこう述べています。

普通生き物は人間を警戒して近づかないのに対して、虫は平気で近寄ってくる。つまり、人間のテリトリーに遠慮なく入ってきます。

このテリトリーが侵害される嫌悪感ではないかということです。

参考:虫ぎらいはなおるかな? (世界をカエル)

Food neophobia

食に限らず、新しいものを恐れることをneophobiaと言います。

新奇恐怖症と日本語では言いますが、昆虫食はこの食の部分での新奇恐怖症に該当します。

英語だとFood neophobia(フード ネオフォビア)ですね。

未知のものは避けようという気持ちですね。

たとえば、同じ食品でもよくわからないブランドのものは避けようとしたり、CMで見たことがあるブランドの方を選ぼうというのは、見たことがあるということが選択の理由になっています。

このように見たことがないものを避けようというのが新奇恐怖症になります。

ほとんどの人が食べたことがない。

昆虫食はまさにこの新奇恐怖症に該当する食品だということですね。

嫌悪感は生まれながらのものではなかった

嫌悪感というのは、人類共通の感情です。

しかし、子どものころは持ち合わせておらず、成長する過程で身に着けるものになります。

そのため、赤ちゃんに昆虫食を見せても何の反応もありません。

子どもは、不快なものは何かというのを学ばないといけないんですね。

そして、不快だというのは、その社会や文化によって基準が異なるので、育った環境によって大きく影響を受けます

そのため、ある地域では昆虫を食べるのが普通で、ある地域では昆虫が気持ち悪いものとして認識されるという違いが出てくるんですね。

なぜ嫌悪感を抱くようになるのか

では、なぜ嫌悪感を抱くようになるのでしょうか。

それは、身を守るためです。

何が安全で、何が危険かという認識を身に着けて、事前に予防するんですね。

なぜ子どものころに身に着けていないかというと、子どもの間は免疫力などが養われるためのようです。

たとえば、泥や汚いものにも抵抗を示さず触ることで、一時的に細菌などが体内に入ってきますが、結果として抵抗力をつけることができます。

子どもの頃にいざという時のための免疫力はある程度つけておいて、さらにそれを予防するために嫌悪感を養っていくという感じですね。

嫌悪感とは何か

では、嫌悪感とは一体どういったものなのでしょうか。

「あなたはなぜ「嫌悪感」をいたくのか」(レイチェル・ハーツ)では、死への拒絶だと述べています。

嫌悪感というのは人間だけが示す感情のようです。

そして、面白いことに嫌悪感というのは一種の贅沢だと表現されています。

というのも、生き延びるうえで精いっぱいである場合は、食べられるものは何でも食べるという形になると思うのですが、豊かな社会になって、ちょっと嫌なものを拒絶できる贅沢ができるようになった結果、嫌悪感というものができたからだと言います。

人が嫌悪感を抱く時

嫌悪感は人間しか持たない感情。

その点で、人は動物などほかの生物とは違うんですね。

人間は他の生物とは違う。そういった思いを人は潜在意識の中に持っています。

そして、そのことが人間が嫌悪感を抱く原因になっています。

つまり、人間が嫌悪感を抱くのは、自分も動物と同じだと認識するときだというのです。

つまり、死を意識する時です。

人は動物とは違うのはずなに、結局は動物と同じように死んでしまう。

この現実を受け入れるときに嫌悪感を抱くと言います。

そのため、たとえば犬や猫が食べるものと同じものを食べていることに対して、嫌悪感を抱きます。

それは、自分が犬や猫と同じだと感じてしまうからです。

昆虫食も同じで、昆虫を食べるのは野蛮な部族の人たちだという認識があったりするので、嫌悪感を抱くということなのだと思います。

見た目が気持ち悪いというのも身体的嫌悪感と言われるもので、病原菌や細菌がありそうといったものと同じように身の危険を感じさせるものという位置づけのようです。

さらに、この嫌悪感というのは、恐怖感が一体になると際限なくエスカレートしていくことのようで、昆虫には毒があるといった恐怖心を生む要素もあるため、ますます嫌悪感が増大する形になっているようです。

このことから、昆虫食の嫌悪感克服には大きなハードルがあることがわかります。

昆虫食に対する嫌悪感を克服するための2つの方向性

では、そういった嫌悪感を克服するにはどうしたら良いのでしょうか。

最も良い方法は、そういった嫌悪感を感じる宿敵に存分に身をさらすことだそうです。

つまり、たくさん昆虫に触れるということですね。

できるだけ多くの人に昆虫食にふれてもらい、昆虫食は気持ち悪いものではない、そして、おいしいものだと感じていただく必要がありそうです。

これは、メディアでの報道なども含めて、昆虫が食べられている状況を多く目にすることが効果的になりそうです。

昆虫食自動販売機での報道や無印良品のコオロギせんべいもこれに大きく貢献しているのではないでしょうか。

昆虫食自動販売機の設置場所まとめ(2020.8.17現在)

なぜ無印良品はコオロギせんべいを開発したのか?

もう1つは、人間が昆虫食を食べる理由の普及です。

食糧不足で食べるものがないから食べるといった理由ではなく、昆虫食を普及させることで世界の飢餓撲滅に貢献するために食べる。

昆虫の飼育は温室効果ガスの排出量が少なく、地球の温暖化防止に貢献できるから食べる。

飼育のための土地を有効活用し、生物多様性や自然環境の保護のために食べるといった人だからこその食べる理由があるということが認知されることで、昆虫食への抵抗感は薄まっていくことになると思います。

こういった点では、SDGsへの貢献ができるといった点が効果的かもしれませんね。

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