昆虫食と宇宙食、二つの全く異なる食べ物だと思っていたものが、実は同じ未来食ということでの大きな共通点があることがわかりました。
今回は、その昆虫食と宇宙食の関係性について述べたいと思います。
宇宙食とは
宇宙にいるときに宇宙飛行士が食べる食べ物ですね。
最近では、国際宇宙ステーション(ISS)にて長期間宇宙に滞在しているので、そこで食べているものは宇宙食になります。
宇宙という限られた環境の中での生活になるため、栄養面、衛生面、おいしさ、保存性、におい、飛び散らないことといった宇宙ならではの厳しい基準をクリアしたものが採用されます。
フリーズドライや缶詰といったものを想像しがちですが、最近ではレトルト食品や市販食品、果物、野菜といったものも食べられていて、地上での生活に近くなっているようです。
宇宙食は、地上で作られたものを宇宙船で打ち上げてISSに届けるといった形になっています。
宇宙食の変化
多様化
ISSの初期のころはアメリカの宇宙食5日間、ロシアの宇宙食5日間というローテーションで食べる形だったようです。
しかし、さすがにローテーションといっても、同じものを繰り返し食べると長期滞在をしている宇宙飛行士にとっては飽きてしまいます。
スペースが限られる宇宙船においては、食事というのもリラックスをするのに大きな役割を果たすようで、数少ない楽しみの1つがまた同じ食事かという落胆に終わってしまっては良くないですよね。
そこで、今では16日間で1クールという形になって、中には日本食の宇宙食というのも出てきているということです。
自給化
ただ、宇宙研究はISSだけではありません。
今後、火星など遠くの惑星への人による調査が行われることになるかもしれません。
そうすると、地球から宇宙船で食料を補給できなくなってしまいます。
そこで、考えられるのが宇宙船内で食料を自給自足するということです。
宇宙船での食料の自給に向けて
自給自足するにあたって、最も理想的なのは地球と同じ環境をつくることです。
しかし、それには地球と同じ気候条件が必要ですし、何よりも土地や飼料、水といった資源も必要になります。
宇宙船の中では、スペースも資源も限られており、限られた条件の中で、人が必要とする栄養分を採れるようにしないといけないという課題があります。
そこで注目されるのが昆虫食なんですね。
なぜかというと、動物性たんぱく質の摂取という点で、昆虫の飼育は非常に効率が良いからです。
動物性たんぱく質というと、牛や豚、鳥などが思い浮かびますが、それらは大量の飼料や水を必要とします。
また、一定程度の広さのスペースも必要です。
これらを宇宙空間で求めるのは不可能ですし、糞尿の処理についても簡単ではありません。
一方、昆虫であれば限られたスペースで大量に育てることができますし、必要となる飼料や水も圧倒的に少なくて済みます。
また、成長が早いというのも強みになると思います。
この点は、SDGsと昆虫食の関係とも非常に似ていますね。
宇宙でのたんぱく源としての昆虫食
今後、地球から離れた惑星などの探索が行われるようになった場合には、省スペース、省資源で飼育することができる昆虫は、動物性たんぱく質の摂取方法として非常に重要な役割を果たすことになると思います。
ただ、宇宙での生活における食事というのは、貴重な楽しみの一つであって、昆虫食によってその楽しみが苦痛になってはいけません。
そういった点では、今後、昆虫食が宇宙でもおいしく食べられる方法を考えていく必要があると思いますし、どの昆虫が宇宙での飼育に最適なのかというのも見極めていくことになるのだと思います。
現在、地上では人は牛、豚、鳥を主に食べています。
哺乳類は多数いるにもかかわらず、この3種類に絞られているわけです。
その理由は、飼育のしやすさだったり、味だったり、気候だったりといろいろな条件の下、このような結果になっています。
宇宙ではその条件がさらに絞られるため、もしかしたら昆虫の中でも最も適した1種類のみという形になっていくかもしれません。
遠くの惑星に行く準備が整うのが先か、昆虫以外での自給ができる動物性たんぱく質の摂取方法が開発されるのが先か、それはわかりません。
なんとなくですが、宇宙船という限られたスペースのことを考えると、昆虫を育てながら遠くの惑星に行くという方が現実的なような気がします。
そう考えると、宇宙飛行士を目指す方は昆虫食に慣れておいて損はなさそうですね。
地上でも国際連合食糧農業機関(FAO)が2013年に報告書を出して以降、昆虫食への注目が高まっています。
このように考えると、昆虫食は地上においても、宇宙においても未来食という位置づけでは同じなのだと思います。
もちろん、まだまだ昆虫食に対する抵抗感をお持ちの方も多いのが実際です。
しかし、その嫌悪感には理由があります。
それを克服する方法もあるので、トライしてみてはいかがでしょうか。