世間で注目されてきている昆虫食。
なぜ、みんな昆虫食を食べるのか。
そのメリットについてご紹介します。
個人的意義
好奇心
はじめて食べる人の多くがこちらに該当します。
食べたことのないものを食べてみたい。
飼っているペットの餌が昆虫なので、興味を持った。
最近メディアでよく見かけるから。
そんな好奇心から食べてみようという人が多いです。
では、継続して昆虫食を食べている人たちはどういった関心からなのでしょうか。
楽しい
現状では、この楽しさというのが最も多いのではないでしょうか。
セミたまが実施するセミ会は、みんなでセミを捕って調理して、食べます。
ここでは、セミを捕るということ自体が楽しいですし、セミを食べることに関心を持つ人、いわゆるアーリーアダプターの方々はアンテナが高い人たちが多いため、話をするととても刺激を受けます。
また、友人同士で集まっても、昆虫食を少し混ぜておくだけで必ず話題になります。
会話を盛り上げる手段としても有効です。
メディア等では、昆虫が気持ち悪がられるのを利用して、罰ゲーム的に使われることもあります。
未知のものを食べてみる、見た目や固定観念に逆らって食べてみるチャレンジ的な要素での楽しみ方も行われています。
おいしい
次に来るのはおいしさです。
セミ会のようにその場で捕った新鮮なものをできたてで食べるというのは、昆虫を最もおいしく食べる方法の一つです。
蜂の子も佃煮で売られていることが多いですが、蜂会で採ったばかりのものをしゃぶしゃぶにして食べると、そのおいしさに驚くと思います。
最近では加工の方法も多彩になり、ANTCICADAさんのようにラーメンにしたりといったこともできます。
健康的意義
昆虫食は健康面でもそのメリットが注目されています。
栄養
昆虫食は概して低脂肪、高たんぱくで、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富だと言われています。
牛肉や豚肉は肉の部分しか食べませんが、昆虫は多くが1匹そのまま食べられることから、栄養的にも良くなると考えられます。
機能性
また、昆虫の機能性もあると考えられています。
機能性というのは、「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、健康の維持及び増進に役立つことを言います。(消費者庁:機能性表示食品について)
まだまだ研究途上の分野ですが、各企業の責任において科学的根拠を示すことでうたうことができるため、今後増えてくると考えています。
社会的意義
国際連合食糧農業機関(FAO)の2013年の「食品及び飼料における昆虫類の役割に注目する報告書」が提出されて以降、注目されているのがこちらの社会的意義の部分です。
- 温室効果ガスやアンモニアの排出が少ない
- 飼育に必要な水、飼料、土地などが少ない
といった環境面への効果が大きいことが述べられています。
それ以外にも、
- 大きな投資が必要ないため、社会的弱者でも取り組むことが可能
- 外部への影響が少ないため、小規模であれば都市部でも育てることができる
といったSDGsにつながる強みもあります。
産業的意義
昆虫食は、他の産業の副産物としての利用がされてきたという特徴があります。
蚕でいうと、製糸業では繭を取った後のサナギは不要になるわけで、産業廃棄物として処分されていたのですが、それを食用に活用できないかといった経緯があります。
また、イナゴは稲を食べる害虫としてとらえられるため、害虫駆除の一環として位置付けられてきました。
イナゴを捕ることで、稲の成長をサポートする一方で、イナゴを食べて栄養もつけられるといった一石二鳥の考え方になります。
産業して昆虫食を考えるにあたっては、養殖が必須になってくるのですが、昆虫の場合は牛や豚と違って、成長が早いため、早いサイクルで出荷ができるといったメリットがあります。
文化的意義
日本は、伝統的に昆虫が食べられてきた歴史があります。
そういった日本の伝統文化を改めて見直すといった側面があります。
ただ、最近はコオロギなど日本で伝統的に食べられてきた昆虫食以外のもので産業化が進んでいるのも事実です。
これは、これまでの食文化に新たな要素を加えることになっていくのではないでしょうか。
和食がユネスコの文化遺産になったように、昆虫食も新たな文化として注目されていくことになると思います。
これまで昆虫食の良い面ばかりを上げてきましたが、リスク、デメリットももちろん存在します。
人が食べるものである限り、安全性というのは最も優先されるものであり、その点は注意しながら普及していく必要があります。