昆虫食の駅「TAKE-NOKO」の現状と今後の展望を聞いてみた

2021年10月1日にオープンした昆虫食の駅「TAKE-NOKO」。その狙いと今後の展望について、店長のみちこさんにお伺いしました。

 TAKE-NOKOができた経緯

伊藤
TAKE-NOKOをオープンしようと思ったきっかけについて教えてください。
三浦
もともとのお店は1~2組の方がいらっしゃるといっぱいになってしまうので、もっとゆっくりしてもらえるスペースがほしいなと感じたことがきっかけです。近郊で探していたところ、良い場所がたまたま見つかりました。
伊藤
古民家風の良い雰囲気の場所ですね。
三浦
昆虫を身近な食卓にしたいというイメージのお店にしています。築60年の建物で、もともと砂壁だったところに色を塗ったり、タンスだったところを棚にしたりと私がDIYが好きだったので、自分でリノベーションしました。
伊藤
え、もともとのお店を営業しながらリノベーションもしたんですか。
三浦
そうですね。夜な夜なやっていたので、結構大変だった気がしますが、あまり覚えていません。(笑
伊藤
工事はどのぐらいの期間やっていたんですか。
三浦
この場所は2021年の9月に決まったので、1か月半ぐらいですね。
伊藤
すごい短期間ですね。
三浦
もともと店内をどうしようというイメージはあったので、スムーズにできたのだと思います。棚なども手作りで、まだまだこれからも作っていきたい部分があります。

 お店の名前の由来と狙い

伊藤
お店のTAKE-NOKOという名前の由来はなんですか?
三浦
もともとTAKE-NOKOというメンバーズカードを作っていたんですね。その由来はTAKEOの名前とたけのこをかけたもので、昆虫食でつながる場という想いで取り組んでいました。実店舗を構えた時に、そういえば店舗名があった方が良いよねということで、TAKE-NOKOになりました
伊藤
昆虫食の駅と言っているのはなぜですか?
三浦
道の駅というものがあると思うのですが、いろいろな人が集って、イベントをしたりという形なので、気軽に入れるイメージがあると思います。また、食だけでなく、作家さんの作品など昆虫食につながるもの、昆虫食に興味がなくても、昆虫は好きだけど食べるのはちょっとという人にもこういうものを知ってもらいたいという想いもあって、駅ということにしました。

どういう人が来るの?

伊藤
オープンしてからはいかがですか
三浦
日によって波がありますね。来るときはかなり来ます。これまでは1~2組が入ったら外で待ってもらうというような形でしたが、少しは解消されたかなと思います。
伊藤
どういう方が来ますか?
三浦
最近は幼稚園から小学生ぐらいの家族連れが多いですね。土日にパスタを食べて帰ってという方々が多いです。Vtuberの方もいらっしゃいますね。
伊藤
昆虫食自動販売機でも意外と子ども連れの方が買っていきます。
三浦
小さい子たちの方が好奇心が強いのと、ゲテモノ意識がないというのが大きいと思います。学校の夏休みの宿題でも昆虫食をやってみよう。SDGsを学んだので体験してみようという人が来ます。もちろん、親御さんが興味があってという人もいらっしゃいますね。
伊藤
人気商品はありますか?
三浦
タガメサイダーなどのドリンクや国産昆虫系ですね。土日はホリデーキッチンということで、パスタを出しているのですが、平日は軽食を出していないので、提供できるようなものを考えているところです。
伊藤
夜は21時まで開かれているんですよね
三浦
新型コロナウイルスが落ち着いてきたので、これからは夜にみんなで昆虫を調理して食べるワークショップをやりたいなと思っています。
伊藤
それはかなり楽しそうですね。昆虫そのままのものの調理でしょうか?
三浦
小魚などは魚をそのままで食べていますよね。同じようなサイズの昆虫であれば、同じように食べていても違和感がないと思います。また、見た目があっての昆虫かなという想いもあって、見た目があって、キャッキャしながら楽しめる感じが良いですね。
伊藤
お店に来る方の男女比はいかがですか?
三浦
半々ぐらいですね。女性の方が食として見る人は多いですね。

SDGsで注目されるということ

伊藤
男性はSDGsのような観点でという人が多いのでしょうか?
三浦
最近企業ではSDGsにつなげたいというところが多いので、そうかもしれません。ただ、思ったほど昆虫食はエコではないというのもあるかと思います。たとえば、海外で養殖したものを日本に輸入してくる環境への負荷はどうなのか。もし、日本で養殖をした場合は冬にコオロギの養殖をする場合は、電気を使うので、それはどうなのか。あと、コオロギは食べ物にタンパク質が必要なんですよね。そういう点では草食のバッタの方が環境にはやさしいかもしれません。
伊藤
TAKEOさんではむし畑もやっていますね。
三浦
まだ量産できるほどではないですが、今月(2021年12月)にむし畑のバッタを出してみようという話をしています。あと、昆虫の保存期間が短いのも課題なんですよね。
モウ
賞味期限はどのぐらいですか?
三浦
加工方法によって違うのですが、国産昆虫シリーズだと4か月ぐらいです。
モウ
たとえば、生肉の場合は傷んでいたらわかると思うのですが、昆虫でもそういった変化はありますか。
三浦
販売しているものは冷凍も含めて火を通したものになっています。そのため、風味が劣化したりということはありますが、生肉のように色が変わったり、匂いが変わったりというのはわかりにくいですね。
モウ
パウダーを使った商品も出てきていますね。
三浦
そうですね。ただ、国内の昆虫はパウダーにするほどの生産量がないのが現状です。これからニーズに合わせて増やしていくとは思います。
モウ
粉末でも味は違いますか?
三浦
違いますね。色も違えば、香りも違います。感じてみてください。
5種パンダの比べ(カイコ、バッタ、ヨーロッパイエコオロギ、フタホシコオロギ)
モウ
蚕が良い匂いですね。
三浦
蚕はスパイスっぽい感じです。粉末の場合は、出汁に使ったり、粉者に混ぜたりしている。たまにプロテインの代わりに飲む人もいる。プロテインの場合は、100%コオロギの粉末ではなく、豆乳や牛乳に入れて混ぜている形です。ただ、コオロギプロテインの体内への吸収率はまだ研究されていないので、どの程度効果があるのかわかっていないのが課題です。
伊藤
注目される中での課題はありますか?
三浦
アレルギーの問題は心配です。一般的に知られる食材は、アレルギーに気を付けようという意識はあると思いますが、昆虫がエビ、カニのアレルギーがある人は注意ということは認知が進んでいません。実店舗であれば、直接お話できるのですが、スーパーなどではそういった機会はないと思うので、心配です。
伊藤
最近、昆虫食が増えてきていますが、これからの昆虫食はどうなっていくのでしょうか。私たちは昆虫食が日常にある未来というものを思い描いています。日本は海外に比べて、家で調理をすることが多い国なので、家庭で調理するということも出てくるのではないでしょうか?ただ、肉料理の代わりに昆虫料理となるかというと、少し違うかと思っていて、肉料理もある中で追加で一品昆虫食といった形ではないかと考えています。
伊藤
メインディッシュというよりは、小鉢で一品といった感じですね。
三浦
なかなか昆虫食でお腹いっぱいにということは難しいのではないかと思っています。最近、新型コロナウイルスの影響で鶏肉や牛肉が高騰しているので、昆虫を食べなくてはいけないということも出てくるかもしれませんが、無理して食べるものではないと思っています。食は楽しまないと始まらないと思っていて、昆虫食は食べるべきものというよりは、楽しみの一つとしてとらえていただきたいです。ストレスのない昆虫食を楽しんでいただきたいと思っています。
伊藤
どうもありがとうございました!
モウ
ありがとうございました!